50カラット会議

43号  50代からの甘い生活

2004年3月 発行所 「50カラット会議」

50カラット会議レポート 

43号

50代からの甘い生活 20•30代は洋菓子、いま和菓子の追っかけです。

 

「甘い生活を伺いたいんです・・」と切り出すと、電話の向うから「ええっ!?」と一瞬息をのむ気配。「あ、甘いものの話・・・」と続けると、一転爆笑。「任せといて!」と、甘いもの大好き人間が集まりました。子供の頃は、お誕生日とクリスマスの年2回、丸いパターケーキが楽しみでした。             若い頃は、もちろん洋菓子派。港港にケーキありと、神戸と横浜に発祥するケーキのお店にうつつを抜かしたものでした。
それが最近、手土産なら和菓子だそう。和菓子は、四季のある国に生まれた贅沢を味わい、太る不安からも解放してくれる上に、なんと健脳と美肌のもとと独り決め状態です。「マリーアントワネットはケーキをシャンパンで食べたそうよ」と誰かが言えば、「お酒にチョコレートは合うものね」と、甘辛両党ぶりも健在でした。

蛇の道はヘビに聞くシリーズ㊸

甘さは、人生に必要です。

集まりくださったのは、5人の方々。
「シミがないのは、大好きなワインとあんこのおかげ」と信じる元トップモデル宇佐美恵子さん、「洋菓子の歴史と一緒に育ってきました」とにっこりの洋菓子研究家小菅陽子さん
「お菓子も香りの文化です」とチョコレートファンの香り研究家嶋本静子さん、「体重が落ちにくくなったし、ほんとうに美味しい和菓子に絞ってます」と言いながら、美味しいと聞くとどこまでも行く料理研究家高城順子さん、茶道の指導もしていらっしゃるというご主人とのコミュニケーションは「和菓子がとりもっている」編集者円谷柚美子さんです。

 

目次

1.忙しくても、お茶の時間は欠かしません。

2.50代のケーキ体験は、そのまま戦後洋菓子の歴史です。

3.お菓子は文化遺産。                                                                        城下町と港町には、甘い言い伝えもいっぱいです。

4.和菓子にラプコール。

5.ずっと、お菓子を楽しみたいから、提案します!

 

 

 

1.忙しくても、お茶の時間は欠かしません。

甘いものには、幸せ感をつくるホルモンがあるのでしょうか。
お菓子の時間には、みんなが嬉しそう、みんなが笑っている、楽しい話が湧いてくる…。
天使が降りてくるって、言いません?

●ゆっくり朝ごはんのあと、甘いものちょっとが習慣。
前の晩にガマンしたケーキも、朝のお楽しみ。
朝の廿いものは、おめざ。頭も体も、この糖分が目党めさせてくれます。これから動かす体だからカロリーに不安もありません。

●オフィスでの「午後3時」はお菓子の時間。                                                              甘いものとお茶のおやつは油断を楽しむ時間です。 脳に体に心にも、たっぷりの解放感をもたらすのは、哨の和菓子、チョコレート。

●夕食のあとの自由時間はいいお茶と和菓子で安らぐ                                                               寝る前だからケーキは敬遠するけれど、和菓子なら大丈夫。以前はお酒だった夫も、最近は下を伸ばす。 お菓子でコミュニケーションのトシになったのかな。

美味しいものを、選りすぐって食べる年代になりました。

甘いものの時間を確保している分、食べ方には気をつけるようになりました。
40代までのように、少し動けば消化してしまう自信もなくなって、食べる時間、頻度、量、それに種類にも気配りを始めました。
「朝なら大丈夫」「頭を使っている時間には、必要なのよ」「脂肪分たっぷりのケーキは、特別なお食事のデザートに限ろうかな」「同年代への手土産は、和菓子になりましたね」etc.
なんだかんだ言っても、やっばり食べ続けたい気持あればこそ開く「食べるチャンス」が揃っています。
けれど、いつでも大前提は、「ほんとうに美味しいものに限ろう」という気持。
「出てくればいつでも何でもというわけにいかないのだから、選ばなくては・・」と美味しいものを手に入れる努力を惜しみません。
何曜日の午前中限定で手に入ると聞けば、お菓子のスケジュールが手帳に記される、仕事先から少し足をのばすとあの店に行けると思えば向かうという按配。 その上、美味しいものを食べている時には、同席者から新たな情報が入って、甘い生活はいつまでも続くという寸法です。

甘さが満たしてくれる時間

□茶杓を削る夫との和菓子タイム                                                                       雑誌編集者の円谷柚美子さんの家では、和菓子コミュニケーションの時間ができています。
「20年くらい前に、禅寺の大徳寺のお坊さんを取材してきた夫が、抹茶を飲み始め たんです。面倒なお作法は抜きなのですが、最近はボランティアみたいなかたちで、大学の茶道部で教えたりするようになっているの。そこでいただいてくるお菓子をお相伴させてもらっています。朝ごはんの後でいただくお茶とお菓子は、体も目覚めてなかなかいいですよ」とのことでした。

□甘いものって、脳にいいのよね。                                                                  「朝の甘いもの」については、料理研究家で栄養士の高城順子さんからも、「脳は、糖でしか動かないからね。朝の甘いものって正解です。頭を使うお仕事をするときは糖分の補給をしながらどうぞ」と、お勧めでした。
「パソコンのソフトをつくつている会社では、部屋の真ん中にお菓子が山積みされているって!」とか、「ブリッジに熟中するときに、蜂蜜をなめながらしているって聞いたことがあるわ」と、脳に糖分を与える必要がある話は、嬉しそうに続出しました。
最近、講演会に出版にと引っ張りだこの元トップモデル・宇佐美恵子さんは、近く 名誉ソムリエをいただくことになっているワイン通ながら、ご自分でティタイムのケーキを焼くのが好き、羊羹1本いけちゃう甘党です。「原稿を書いている時って、甘いものを食べています。脳に栄養を補充し続けているという感じかな」と、スィートプレイクを大切にしています。

□体の芯からお菓子が好きで、洋菓子研究家になった小菅陽子さん。                                                     「ずっと洋菓子一筋です。本をつくるときって、ずっと家中に甘いものがある。試食をしながらの仕事なのだけれど、つい夢中に食べるので、みんなに、それって試食って言わないって笑われてます。試食って言いながら、しつかり1つ食べちゃうから、1冊本が出来ると3キロくらい増えてます。
普段でも、食事をしなくてもお菓子を食べたいほうなんです。けれど最近は、さすがにいろいろ気になりだして、食べる呈を減らさなくてはと思い始めました」。

□体のこと考えて、厳選主義にしました。                                                                「今までは何でも勉強と思って食べたいたけれど、これからは選ぴ抜きます。本当に美味しいものしか食べません」とおっしゃるのは、高城順子さんです。
なにしろ、以前は気になるお店のケーキはショウケースの端から端まで食べてきたという方です。
「自分でもケーキを作ったり、教えたりした時期もありましたけれど、バターの量とかクリームの董を考えると、ただ事じゃないですからね。自分で作るとカロリーを実感しますね。レストランのフルコースで、デザートをパスすることはありませんけれど、普段はよほど美味しいものに限ることにしました」とのことでした。一つの制御法です。

2.50代のケーキ体験はそのまま戦後洋菓子の歴史です。

「モンブランに行ったとき、モンブランを探しちゃった!ないのよね」「ロシアでロシアンケーキ探しました。これもない・・」とのこと。みなさんの追っかけぶりには脱帽します。

●生活習慣病も、軽いうちなら食生活で何とかコントロールできます。
中性脂肪は、食事次第で面白いくらい変化する。骨粗しょう症も、魚中心にしたら数値が向上しました。

●早寝早起き。快食・快便・快眠を目標に暮らしてみる。
いろいろなものを満遍なく食べる。食べたら食べた分は動く。それだけの目安でかなり快調になれるはず。

●基礎体力を取り戻す。筋肉のある体になる。
血圧を下げるには、食生活だけでは無理。犬の散歩を取り入れた人もいる。少しでも歩く、筋肉質の体になると、基礎代謝が上り太りにくい体になれます。

 生活をすっかり変えるのは、ストレスのもと。

正しい生活がストレスの原因になることがあります。それでは、元も子もないのですから、まずは、次の2点を目指します。
1つは、自分の暮らしを振り返って、現在の体調との関連をはっきり自覚すること。
2つめは、そんな現状への対策として必要な知識を持つこと。
その上で、これだけは続けてみようかなという「お気に入り」を決めることです。
「お気に入り」の取り入れ方は、いろいろです。ひとりで食事をすると、つい早飯になるのですが、ゆったり時間をかけるようにありあわせのおかずを松花堂弁当風にして楽しむ人の話を伺いました。また、晩餐にお酒を欠かせないという人は、「泡盛にヨモギを入れたり、焼酎を青汁で割ったりします」という健康法をご披露してくれました。「夫に大型犬を買い与えて、散歩習慣を無理矢理つけちゃった!」と笑うのは芳賀日登美さんですが、最近では、犬の方が無理矢理連れ出されるまでに習慣化したそうです。気持よければ続く、好きになれば続く健康法です。食品の選び方で食事内容を健康にしたお話は、後述します。

 生活習慣病の実感は、さまざまです。

□反応がおそくなりました。
「疲れからの回復が遅い」と誰かが口火を切ると、「山登りをすると、筋肉が痛くなるのも数日後」「お酒も抜けにくい」「酔うのもトロい。体の反応が遅くなったのね」と、体の鈍化をひとしきり嘆きあいました。 これは、基礎体力が落ちたことに一番の原因があります。 筋肉を鍛えなおそうとトレーニング中の芳賀さんは、「若い頃のように、いつも晴々という体調ではなくなって、曇天気味。鈍い体になっていくのを実感していましたねぇ」と振り返ります。

□油断すれば、すぐ太ります。
「結婚したときの主人の体重を追い越した時、痩せよう!と決意しました。やっちゃった!って感じでしょ」 「花嫁としてベッドに運んでもらったのに、今じゃ、あなたを運んであげるわなんてね」 と、笑ってもいられないのに大笑いです。40代を思い返すと、食べた分は動くという生活が自然と繰り返されていたのに、今は食べる度に、余分なエネルギーが発生して、脂肪を蓄えるという日常があると実感しています。

□気になるのは、「中性脂肪」「コレステロール」。
けれど、中性脂肪は、食べるものに気をつければ、面白いように簡単に下がります。 一方、コレステロールは、そうは簡単にいきません。 「早め早めなら、食事療法と運動の組み合わせで、病気以前で食い止めることが出来るけれど、いつ発病してもおかしくない状態にまで進行していると、専門的な治療に
ゆだねなければなりません」と、竹内さんはおっしゃいます。 なにしろ、コレステロールが上がってしまう原因は、食生活の他、心のストレスも大きく
て、神経内科が大繁盛という状況になっているといいます。 50代になって、家族や仕事の環境の変化も著しく、おまけに体が気持に付いていけない自分への不安なども生まれてきます。 気持と体の一体化を実感します。
そんな場合に、竹内さんがお勧めするのは、食事もライフスタイルも、基本は変えないという対策。管理栄養士の腕のみせどころです。
「まず心を健康にしておかないと、食べるもののコントロールは上手くいかないんです」とのことでした。
医師の山口さんも、「毎日こうしなさいといった、高いハードルを掲げる必要はないですね。1週間に1度でもいい、思いついた時に歩く。それだって、1年間やったら、結構な量になるんです。そのうち、好きな歩き方見つけたら、運動量も増えるでしょうし。1週間に1回、今までと違うことをやることで十分です」。 「何もやっていなかった人は、軽いことをやっても、お風呂に入っても負荷になるのですから」と言われて、心はすっかり軽くなりました。
三日坊主も繰り返せば、やらないよりマシと、勝手な解釈をいたしました。

3.何を食べればいいのでしょうか。 食べる楽しみを続けるための、野菜生活が始まった。

油を恐れるあまり、茹で野菜ばかりになって、バリエーションがなくなった時は、愕然。
竹内さんの夕食は、二人で500gの野菜で4品が習慣。ご夫婦共、体重は20代のままですって!

●上質なものを少量味わうを基本にします。
油、乳製品、塩や砂糖、味噌、醤油などの調味料は、素性厳選・味と香りを優先します。お金をかけても、使う量も知れていますし。

●野菜は、体の調整役。
頑張って食べます。一生懸命食べないと、1日350gの必要量が中々摂れない。味があり栄養も詰まっている「旬」の野菜に注目。摂り方は、料理、ジュ-ス何でも実践中。

●高齢な親たちには、美味しく食べてもらうことを最優先します。
濃い味に馴染んできた親には、量で調節します。美味しさは、目6割だから明るい照明、耳2割だから話しかけてを努力する。

治療食以前なら、「多種多彩・総量控えめ」を頭の隅に置くだけでも、かなり改善します。

あとは、野菜で季節感を楽しもうという心意気次第です。旬の新鮮な野菜は、生でも茹でても蒸しても、味・色・香り・歯応え共に気持よくて、皮膚も血も筋肉までも元気にしてくれる安堵感があります。一度そんな心地よさを味わうと、食べ方にも工夫が湧いてくるのも不思議。最近では、美味しい塩、体にいいオリーブ油、様々な効果効能を秘めた香辛料の使い方情報もいっぱいですから、勉強する気になれば、すぐ食卓はグレードアップします。
それに、野菜と共に注目の魚介類は、ヘルシー感もあって人気の地中海風や中国料理、韓国料理を参考に、野菜料理の副材料に取り込まれることが増えて
います。蛋白質は、筋肉や血液をつくる大切な栄養素なのですから、良質な蛋白質を摂り易い魚貝類と相性のいい野菜料理は、研究しがいがあります。
魚を蒸して、上から野菜やハーブたっぷりのソースをかけるとか、あちこち食べ歩いた頃のレストランの食卓を思い出して、トライするのはいかがでしょう。

習慣は、後天的産物です

□管理栄養士・竹内冨貴子さんの食卓
薬も何も飲んでいないのに、検査値はオールAの竹内さんご夫妻の食卓は、キチンと計算されています。けれど、結婚25年の間にそれが習慣になって、おいしいのに太らないメニューの宝庫らしいのです。
「二人で外食することはありますが、仕事でのお付き合いはランチタイムに済ませて、夜は200日以上は家で食べます。お酒はよく飲みます。日本酒だったら、2日で1升。二人で食べながら飲んでいます。あんまり、ここまでとかは言わないですね。食べるものは、野菜とお魚が中心。
野菜は、夕食では二人で500g。野菜は、茹でても重量はそんなに変わらない。カサは減りますけどね。野菜料理は4種類。うち2種類は、必ず青い野菜です。サッと加熱するか塩もみしてカサを減らしています。レタスも、生のままバリバリというのはないです。
野菜は、大根も白菜も、買うと、結構一生懸命たべないとなくならない。だから、ちょっとずつ味や目先を変えて、1週間で食べつくすようにしています。
あとは、魚。刺身大好きな亭主なので、必ず1皿。これには、京都から取り寄せているお醤油と生山葵使っています。その他に、焼魚か煮魚1品です。
肉の登場頻度は低いのですが、食べるときは、ロースでも脂の部分を除いて使うようにしています。主人は、動物性の脂をとることがどんな風に悪いかまでは考えませんが、ステーキでも脂分の多いところは残すのが習慣になったみたいですよ」。
ちなみに、朝は、ヨーグルトとチーズトースト。バターを付けるのはご主人だけ。けれど、ハーフカロリーのものにして、内助の功です。
ヨーグルトは500gパック、牛乳は、1ℓが、二人で2日の消費量です。

□芳賀日登美さんの「野菜強化生活」
昔ながらの濃い味が大好きな父上とちょっと、そこまで感覚で海外出張を繰り返すご主人の食事を一手に引き受ける芳賀さんです。ご本人も超多忙。更年期からか、血圧も高めです。 「やっぱり野菜かな、と野菜の食べ方に一番気を遣います。年々、季節の野菜を上手に料理するようになりました。旬は栄養素もしっかり詰まっているからね。 けれど、かなり頑張って食べているつもりでも、まだまだという気持です。ですから、青汁飲んだり、野菜ジュース飲ませたり・・・。そうやって野菜に一生懸命になっていると、まわりの食品にも気遣いが広がりますね。海草をもっと取り入れようとか、調味料も、減塩はもちろん、体にいいと聞くものは試す風です。ご多分にもれず、カスピ海ヨーグルト、お酢、ゴマ、オリーブオイルetc.」。
そんな取り組みにも、お父様の濃い味大好きは不変。 「和食より洋食の方が塩分は少なくて済む気がするものの、やっぱりお醤油が好き。
薄味で煮魚をすると、煮汁を煮詰めてかけてと言われちゃう。食べ終わったお皿に相当濃くて辛い調味料が残っていると、エイ!って飲んじゃいますからね」。 これには、山口さんも竹内さんも、「年齢的な状況を加味して考えると、美味しいと感じる食べ方もいいですよね。嫌だと思って食べるより、美味しいって食べる方が、体の中に入ってから効率よく機能を発揮することもあるのですから・・」という意見です。

4.生活習慣病は、もちろん初体験。 50代の暮らし方と食べ方を学ぶ機会が必要です。

自分で料理をしてみると、何をどれだけ食べているかを実感する。好きなものを上手に食べる方法を学ぶチャンスをつくりたい。

●塩分の減らし方は、難しい。
塩は旨味なので、減らし方には知識が必要。量を抑えるために、美味しい塩をさがしたり、ダシに凝ったり。「減塩調味料」も利用する。
塩味調味に代わる味の楽しみは、学ばないと分かりません。

●お酒を嗜む食卓を続けたい。
「飲んだら、これだけは食べること」とか、「飲むなら、こんな食べ方を」を学ぶ、夫たちのための料理教室が必要。飲んで食べたらゴロリもよくない。後片付けも身につけて!

●野菜の食べ方を知りたい!常備野菜別「生・茹で・蒸し調理法別調味・香味の合せ方楽しみ方」
旬の菜野菜・実野菜別「小鉢小皿料理と調味色々」魚貝と野菜半々のヘルシー菜ご飯で季節の野菜料理温野菜の食べ方楽しみ方 他

50代からの「新・家庭料理」

本格的に治療食が必要になった場合は、専門家の指示に従うとしても、生活習慣病の気配に立ち上がる場合には、目標に「笑って、幸せな時間を続ける」
が欠かせません。これを機会に新しい楽しみを開拓してみようという心意気が必要です。幸い、体を労わるという視点から見直されてきた食品には、私たちが親しんできた日本の伝統食品も多く、そうだったのか!とわが意を得たりの思いです。
食べ方でいえば、もともと日本の家庭料理としての洋食は、和風にアレンジされているので、もっとヘルシーにという工夫はお手のものです。けれど、和風回帰は、塩分の回帰でもあるとのこと。やっぱり、新しい味作りを学ばねばという気持は強まります。 「お味噌汁をお代わりしていいのは、35歳までですよ!」という発言にはドキッ!お味噌汁は、旬の野菜をいろいろ取り混ぜて、具素材の色、食感、香りを味わうメニューにしてこそ、50代からの家庭料理になるのだそうです。

料理をすれば、自分が何をどれだけ食べているかが分かります。

□男性たちの健康は、料理に手を染めることから。
「ウチでは、夫は板さん。魚もさばくし、本当に料理好き。 野菜も、春はコレ、冬はコレと旬を取り入れて楽しんでる。野菜や山菜の名前にも詳し
い。地質学をやっているので、自然と近しいこともあるかも・・」と、一同を羨ましがらせたのは、吉田いち子さん。
そんな稀少価値がある男性も増えてきたとはいうものの、まだまだ口さえ開ければOKという人が圧倒的です。
家で夕食をすることが増えた仁くすのきさんは、「私より早く帰宅して、ご飯を炊いておいてくれた時は感激しました。あぁ美味しい!って言いましたよ。 最近では、もう少し進歩して、料理にも手を染めるようになっています」と、褒めて進歩を繰り返した成果を報告してくださいました。
自分でも、例えばお菓子を作った時に、そのバターの量にビックリして、以来ケーキを敬遠したという体験があります。1日に350gの野菜を食べるということが、どういうことなのかを実感するのは、やっぱりキッチンに立ってもらうのが一番です。

□これからは、ひとりで食事する機会も増えそうです。
ひとりだからこれでいい・・と投げやりになるのは、自分の体を諦めるに等しい行為です。ひとりでも、食べ方の知識があれば、市販の加工品を上手に取り入れて、簡単だけれど貧相ではない、バランスのいい一食を摂ることが出来ます。
「鍋にお湯を沸かすだけの手間で、茹で野菜数種と薄切り肉をシャブシャブしておけばあとは好みのノンオイルドレッシングをかけて主菜の出来上がり。それに、レトルトの混ぜご飯をチンして添えれば、ワインの味も冴え渡る」という技もあります。けれど、食べる時間は、楽しい相棒がいればそれに越したことはありません。 「ご飯一緒に食べない?」というお誘い仲間、お誘いの機会づくりを心がけます。冷蔵庫に賞味期限切れが迫ったあれこれが溜った時も、チャンスです。 おみやげにいただいた食べ物も、呼び水になります。「ありあわせで、創作料理しますから」というお誘いは、誘われる方も気軽に受けられて、 新習慣に繋がります。

□快食・快眠・快便を目指す「実感的食事」へ。
「普段自分が、どれ位油ものが好きだったか、食べてきたかは、一旦止めてみると分ります」と提案するのは、芳賀さんです。
「塩分もそう。1~2週間、徹底的に塩分カットをやってみたら、いかに塩分を摂っていたか実感しました。自分の食生活を振り返る方法としてお勧めです」。 女性に多い便秘症も、「玄米を加えてみました」「野菜を生から茹でて食べるようにしてカサを減らして沢山食べられるようにしました」「肥満に天敵のように言われるデザートも、寒天で作るといい」と、実感的テスト結果が語られました。
食べたら出す。このシンプルな原則を意識するだけでも、頭を使って食べなきゃダメ!という50代の食生活は一歩前進です。

5. 折角ですから、一言アドバイス。

「食べたら、1時間くらいは、ゴロリとなっちゃだめ!」 循環器系医師・山口いづみさん

飲んで食べて、そのままゴロリと出来るのが、外食しなくなった理由の一つというのは分りますが、食べてすぐゴロリはだめですよ。
食後1時間くらいは座っていなくちゃ! だって、胃の入口のしまりが悪くなっているし、胃の中にパンパンに入っている食べ物が食道の方に上がってきちゃうでしょ。胸やけしますね。食道炎のもとです。 昔から、「食べてすぐ寝ると牛になる」と言ったのも、そういうこと。
横にならず、座るか、45度くらいのリクライニングで体を起こしておく必要があるんです。食後の居眠りは、座ってどうぞ。

「100%正しい生活では、息がつまっちゃう。 ま、いいかの楽しみや逃げって大切ですよ。」管理栄養士・竹内冨貴子さん

いろいろな指導者がいるけれど、私は甘い方です。そりゃ、正しい生活100%が出来ればいいけれど、それがストレスになったり面白くなかったりするのだったら、ちょっと悪いのだけれど少しは食べてもと思います。もちろん、それが悪化につながるほどの現状なら、話は別です。             ですから、70~80%やれば、あとの20~30%は楽しみだったりする逃げがあってもいいと思っています。
あまり食べることに興味がない方だと、ビシッとやっても平気なんですが、食べることが好きな方の場合は、「たまにはこれ位は良しとしましょう」がないと、ストレスばかりが溜っちゃいます。 中性脂肪値は、比較的努力がすぐ数字に出るので、頑張りがいがあるけれど、コレステロールは、個人差があって、誰でも努力分減るってわけじゃない。
食事も、笑って、おしゃべりしながら食べられるようにして、食べる時間の気持ちよさをつくることも大切ですよ。コレステロールを下げるには、食事療法、ストレス解消、運動を、相互に効果的に取り組むことが基本なんです。

 「体にいいもの取り入れて、バランスとります。」  メイクアップアーティスト・仁くすのきさん

外でお酒を飲まなくなった分、晩餐は、お酒で始まります。 仕事で訪れる機会が多い沖縄で、泡盛を蓬汁で割ってくれた時は、これだ!と開眼。焼酎は青汁で割ることにしました。 お酒の肴兼ご飯のおかずは、野菜と魚貝類が多いのですが、野菜は量も食べたいし、茹でることから始まります。冬なら鍋が便利でしたね。 野菜をこんなに食べているということが、お酒を飲む気持の安全弁になっています。 最近の注目は、オリーブオイルとゴマ油。量も頻度の少ないので、思い切り上質のものを選びます。蛋白質は魚を中心に摂ります。 肌を艶やかに保ちたければ、良質の蛋白質をしっかり取ってください。

「老眼になったら、メガネかけてお食事を。」  コミュニケーションコンサルタント・芳賀日登美さん

人間の五感の総量を100とすると、視覚は60、聴覚20、蝕覚15、味覚と嗅覚合わせて5なんです。
見えないと、美味しさを感じるセンサーが低下しちゃうのよ。老眼になってくると、お皿の上の料理の輪郭や細部の様子は見えにくくなる。私の親位になると、これはもう色の区別もあやふやになっちゃうんです。薄暗いレストランなんかは、利用したくてもダメですね。ま、50代はそこまでひどくはならないけれど、美味しさは目からというのは事実だから、食卓用老眼鏡を用意したいですね。

「市販品も、上手に取り入れて。」プロモーター・吉田いち子さん

最近は、企業の体研究が進んで、こりゃ家では出来ないという「体にいいもの」が沢山出てきました。上手に選んで利用するといいと思います。
最近お試し中なのは、「香醋、薬膳茶、発芽玄米おにぎり」。自家製できないノンオイル・ドレッシングもとっても便利。茹でただけの野菜に、あれ
だけのバリエーションがあると、使いでがあります。調味料は、取寄せ便も活用組。こりゃいい!を体験すると、同輩先輩へのギフトにもいいですよ。

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