2007年4月 発行所 「50カラット会議」
50カラット会議レポート
62号
気合、はいってます。
言った、言わないの話になると、そうだったかなぁと自信がなくて強引に言い張れなくなりました。
記憶力減退というよりは、行動にチェックが甘くなったのでしょうか。 今回は、親の介護でのアタフタ生活をくぐりぬけたばかりの60歳、同年代を対象に、ファッションや居住空問の楽しみを提案し始めた60歳、始まったひとり暮らしの時間を思い切り自己表現への飛翔にあてたいという5人のお話を中心に、 「気力」「気合」のもとを探りました。
体力任せで走るのは無理ですが、「目標」が気合い力になりました。
蛇の道はヘビに聞くシリーズ62
50カラット会謙にお出かけくださる方々は、毎回、「ヘロヘロ~」と言いつつドアを押してご登場ですが、それでも話し合っているうちに元気百倍になる気合い人揃い。
しかし、中でも近頃一層元気だなぁとお見受けする5人の方々に、その気合いのもとを伺いました。ヴァイオリニスト天野紀子さん、建築家の貝塚恭子さん、ファッションコーディネーター 佐藤恵子さん、ノンフィクション作家の久田恵さん、フリーライター山本加津子さんです。
みなさん山あり谷ありの50代を抜けて、新たな気合い、はいってます!
目次
1.50代の最大の難所は、親の介護でした。愛で支えなければという気持と現実の狭間で気落ちの連続でした。 2.60代を迎えて、自分を取り囲む環境はシンプルになった。時間、空間、人間関係を幸せに楽しみたい。 3. 目標は、あと10年。究めたいこと、持続したいこと、見つけたいこと。
4. 気力のもと。凹んだ自分からの復活、好きなものへの執着心、見えてきた希望。
5. 気合いを支えるのは、目標ネットワーク。自分を語り、願いを共感し、人と触れ合って、元気になります。
1. 50代の最大の難所は、親の介護でした。愛で支えなければという気持と現実の狭問で気落ちの連続でした。
50代は、人生の充実感というプラスエネルギーと自分の更年期、家族の転換期、親の介護で起こるマイナスエネルギーにほんろうされた。
●介護黄は、自己嫌悪のスパイラルでした。
「愛で支えなければと思いつつ、泣きながら老人施設に入ってもらった」 「つい強い日調で物言いをして、自分がダメな人間だと落ち込んだのも、再三再四」
●認知症は家族に伝播する。家中が困惑していました。 「親のウツが、夫に伝染する。夫の落ち込みで自分もウツになりそうだった。自分が落ち込んだら家族は混沌状態になると、気力を振り絞るのに必死だった」
●義母の介護では、夫の気持とのズレにも翻弄されました 「おかあさん、これで3度め目ですよとつい強く物言いしたら、夫が血相変えてとんで来た。夫ともケンカでしたし、大変だった。その義母が亡くなってこの春1周忌です・・」
たしかに、親の介護期は自分の夢も凍結期でした。けれど人生の行方を考える機会にもなりました。
60代に入って振り返る50代は、プラスとマイナスのエネルギーで、困惑と混沌でした。
体が大変だったということよりも、介護は、自分の心の奥底を覗き自問自答する日々だったという辛さを思い出させました。
「両肩には重過ぎます・・」と、涙になりました。まだすっかり片付いたわけではありませんが、アタフタした末に、この春1周忌を迎える人も、老人施設に入っている親を見舞い続けている人も、一様に、介護は自分の行く末を考える機会になったと言っています。「介護中に神経質にぶつかり合った夫との仲も、この頃は落ち着きました。介護は、夫にとっても、自分の老後を考えることにつながったようです。
これからは良くも悪くも二人で生きていくのだと覚悟もできたようですよ」と、一段落に安堵の面持ち。呆然とした時期を通り抜けて、60代は凍結していた夢に向って発進しました。
50代が自由だなんて!
□母が倒れ、父が倒れ・・、お約東事のように、ハプニングの連続でしたが・・。
「38歳のとき母が倒れて20年。その後91歳の父が倒れて・・と、介護の連続です。でも、この山が過ぎたらあれをしよう、あの山を越えたらこんなことをしようと思っていたのよ。
けれど、91歳の父が到れた時、これは、何かが終ったらあれをしようなんて考えてもいつ実現するか分からないのだし、これじゃ永遠に実現しないぞって気づきました」と振り返るのは、作家の久田恵さんです。社会派ルポライターのライフワークは、花げし舎という人形劇を楽しむネットワーク。
自宅をリフォームして常設館にすることが目標になりました。
□介護中は、年賀状の文章が浮かびませんでした。
「年賀状って、今年はこんなことをやりたいとか、やりましょうとか、1年のテーマを書くでしょ。ところが、介護中は、そんな目標が立たないの。
例え書いたにしても、母がもっと悪い状態になったら出来ないのだものね。
遊びたいことがあっても、計画は立たないし、それが実行できるかどうかは分からないのだもの。自分の意志では暮せない時期でもありました」
その休眠期が終って1年。山本加津子さんは、直後は呆然として脱力していたそうですが、最近は元の多趣味生活に復帰しました。
□自己バッシングの時期でした・・。
人生の中で、一番凹んだ時期でしたと振り返る人もいます。
「かなり楽天的な私ですけれど、この時期は凹みました。何かがあるたびに、私はもっと優しい人だったはずだなんて、自分の忍耐力を疑ってしまうのよ。
そんな風に自己バッシングしては、精神的に疲れ果てちゃうという繰り返しでした」
「仕事をしながらの介護は、大変でした。設計はひとりでやる孤独な作業ですし、仕事仲間は男の人だから、女同士のオシャベリで発散もできなかった。
5-6年の自宅介護の末、施設に入ってもらいましたが、泣き泣きでした。都内では5本の指に入ると言われる厚い看護がある特別養護老人ホームですが・・。自分の気持が試されているようで・・辛かったです。この頃やっと、しかたないんだと思えるようになりました」と、建築家の貝塚恭子さん。
□自分の更年期、子供の結婚、親の介護を抜けて、いよいよ人生仕上げの時です!
親たちと過ごして、歳をとるとはどういうことかを学びました。60年を生きて、「これだけは!」と大切にしていきたい物事も見極めがついています。
あとは進むのみ。見えた目標に気合いが入ります。
2.60代を迎えて、自分を取り囲む環境はシンプルになった。時間、空間、人間関係を幸せに楽しみたい。
なにをするにもお金は必要 社会保険庁に年金額を確かめて愕然。行動的に暮らすには、働く必要も切実です。
●親を送り、子供も独立した.時間の使い方もリセットヘ。
サラリーマンだった人は定年を区切りに、新しいライフスタイルヘ。無限の休暇をもらったような喜びでいっぱい。
●夫とふたり、自分ひとりの 暮らしになったのだもの、家もライフワークに合わせて、リフォーム開始。
建築家には、同年代からのリフォーム依頼が多くなりました。そんな歳なんですね。
●生活感覚が合う人たちとの交流を大切にしたい。好奇心、行闘力、向上心を満たしあえる仲間が嬉しい
旅、スポーツ、飲み会も、姉妹や幼友達、学生時代の遊び仲間が復活の兆し。
人間がまるくなったとは思えないが、争わなくなりました。
一歩も引かないといった頑なさは、まだ仕事の中に残ってはいるものの、日常生活では、「争わなくなりましたねぇ」と、一同自分を振り返りました。 その理由はいくつかあります。
が、最大の理由は、近頃自分の行動に自信が持てなくなったこと。言ったはず、やったはずと、過ぎたことへの確信が持てなくなったのです。
以前でしたら、「言ったじゃないの!]と怒嗚っていたろう場面なのに、「うつ、待てょ。言わなかったかしらん・・・」と一瞬迷いがよぎります。
というわけで、強い物言いが影を鎮めました。
それに、嫌なこと、相性が悪い人を予め避けているフシもあります。「これだと決めた粋し方をまっしぐらという心地よさで生きたいんです。もう迎合は
ゴメンだ」と、初めから争いの種を避けているのです。けれど皆さん、「一言多くなっている」。どこに行っても長老扱いの歳になって、だれも楯突かないし、しょうがないかと思ってくれる。ま、いいか!
60歳の着地点
□「ひとり」の快感
「父は老人ホーム、マザコンに育てたつもりの息子は結婚するという。というわけでひとり暮らしですが、これまた快感快適です!
自宅を使って始めた人形劇は、ずっと好きだったファンタジーの世界。歌ったり踊ったり演奏したり、昔楽器をやっていた人が、近ごろ再燃しグループに参加してくれたりで、怒涛のように楽しんでいます。ホームページで人集めしているのだけれど、これがシニアから子供までやってくる。ファンタスティックにアリスのお茶会なんてやるのだけれど、人気なのよ。
でも、お金がかかる。
去年の前半まで、もうお金はいいと、年収200万円くらいで暮そうなんて、くだらない実験みたいなことをしていたのだけれど、賄いきれないの。
そこで、社会保険庁で年金を問い合わせたら、これまたビックリ。月5万円に満たないのに気がついて、また働き始めましたよ。書き始めました。気力も体力もあるから人形劇したいのに、お金がなくちゃダメだものね」と、久田恵さん。
神楽坂でブティックを開く佐藤恵子さんも、「主人は10年前から陶芸するからって群馬の方に行っちゃったし、母と娘との三人暮らしなのに、母は人院、娘は娘で帰りが遅いし、ごはんだって一人です。ひとり暮らしの練習中みたいなものですけれど、60歳の視点で同年代に提案するファッションコーディネーターの仕事に燃えているし、一人になって、時間を自由にコントロールしていけるのも嬉しくて、それなり最高に楽しい」とニッコリです。
□チェックが甘くなってきました。こ用心
「3月11日にスキーに行ったときのこと。そこで、送っておいた荷物を受け取ろうと宅急便の窓口に行ったら、まだ着いていませんって言われたの。
ええっ!ちゃんと書いたのにと思って、怒嗚ろうとして思いとどまりました。うっ待てよ、この頃思い違いも多いし・・と一拍置いたの。
そうしたら、向こうの人が伝票にはプレー日が18日になってますと言うじゃないの3。書き込む時、母が京都に旅行に行くのは18日だったなぁと思ったのだけれど、その 18日を書き込んでいたのよ!そんな”つもり’’が増えました。
つまり、自分の行動に自信がなくなったので、すぐその場で怒嗚ったりしないとか、気をつけるようになりました」
ほんと、何気なく行動している、慣れで動いていることが増えました。
□多い一言。
「そういうものではないでしょ!」「この間、念を押したはずですよね」「ビジネスはそこですよ!」なんて、つい言っちゃうんです。
後で、言わなぐてもよかった一言だと反省もしています。自分のしていることに自信がなくなってきたものの、人問はそう変われるものではありません。あしからず。
3.目標は、あと10年。究めたいこと、持続したいこと、見つけたいこと。
鈍い人にはなってはいけない!
老人ホームを眺めていると、60代70代はまだ年寄り と認められないことを実感する、,老人は85歳からです。
●50代を過ぎて気づいたことがある。気づいたからには究めたい。
自己表現、感情表現には技が要ると気づいたときから、死ぬまで精進と決めたのはジプシーヴァイオリンの天野紀子さんです
●「いい女」でいる緊張感は失くさずにいようと思う。
女性同士のほうが楽しいし、気楽だからか、段々男性に関心がなくなっている。「けれど、色っぽいねぇと言われると、お世辞でも嬉しいじゃないですか」
●自由人の暮らしだから、足の向くまま気の向くままに好奇心を広げていきたい。
社交ダンス、スポーツジムでのダイエットプログラム、旅行英会話、山登り、スキー、茶道et c.誰も止めない、止められない。
天野紀子さんは、炎のようにヴァイオリンを弾きたいのだ
天野紀子さんは、「炎のジプシーヴァイオリニスト」と呼ばれています。
50カラット会議のオープンハウスパーティでも、何回かほろ酔い気分の私たちの胸に燃え盛る炎を移してくださっています。
その天野さんは、「50歳を過ぎて、メジャーデビューした時に、自分の力量を思い知りました。表現したいことを完璧に表現するために、毎日少しずつでも技を磨こう、死ぬまでに完璧に弾けるようになろうと思いました」と語りました。
3歳から始めたヴァイオリンでしたが、母親の厳しい言葉と監視のもとで弾いていたことなので、「本当に弾きたくて弾いていたわけじゃないし、むしろ逃れることをいつも考えていました。芸大卒業後は、ストリングスを組んでスタジオミュージシャンの道を選び、40歳の頃今度はタンゴに出会って、ソリストをめざしていました。ヴァイオリンのことしか知らないし、他に趣味はないし、好き嫌いはともかくヴァイオリンを弾いてきたのね」と笑います。
50代にして改めて生まれたヴァイオリンヘの情熟に、「学生時代にサボったものを今取り返しています」という天野さんに、一同唸るばかりでした。
生きているうちに自分を使い切る
□嫌でも、リーターシップは求められています。
好き勝手をやっているとはいえ、やっばり年の功、序列もあって、リーダーシップが求められていることは承知しています。
「ひとが集まって何かやろうとすれば、リーダーになる歳ですよ。ですから、そんな場面では、まあこんなもんで・・というわけにはいきません。〇〇して下さいと、はっきりと意思表示もします。物事を決める人の立場ですからね」
「野心はなくなったけれど、自分がやってきたことが役立つ時代だと思っています。 同世代が求めていることは、若い人には分かり難いはず。同世代ビジネスからのニーズは高いと思うの。私は迷っている同世代に向けて、ファッションを発信する仕事で、最近またまた燃えています」佐藤恵子さんです。
□けれど、自堕落は長毒の秘訣。長生きの人は、マイベースだし自分勝手です。
「老人ホームに長年通っているけれど、発散型の人って、歳をとるといい人ですよ。 反対に抑圧された人生を送ってきた人は、ハチャメチャ。我慢してきた分だけ壊れちやっている。前頭葉の抑えが効かなくなってしまうのね」
「やりたいのにやらなかったことが、今欲望になって出てきたというわけですね」
「私は人生相談を担当しているのだけれど、60代から夫が不倫したなんていう相談も多いのよ。相談してくるのは奥さんからなんだけれど、夫婦なんてこんなものだと思っていたら、この期に及んで不倫だって嘆いているのよ。抑圧されてきた結果なのかな」久田さんは、「私なんか、ひとり暮らしだから、ひとりで酔ってひとりで踊ったりしてね。尋常じゃないかもしれないけれど、幸せで解放されてます」。
長寿印とでもいいましょうか。
□元気な親に学ぶのは、好奇心の旺盛さです。
山本加津子さんのお母様は89歳。
「なんたって元気。まだ海外旅行組です。それがこの間、表参道ヒルズに行きたいのだけれど・・と言うの。ショップが入っているだけで、わざわざ高幡不動から出かける先ではないわよと説得したのだけれど、ふとせっかくの好奇心を摘んではいけないと反省し、連れて行きました。
その後は神楽坂。テレビのドラマで旬な場所だと言うんですよ。ここも行きました。坂が多いし、ころばせないように気を遣いましたが、本人はお友だちも連れ立って、楽しそうでした。もっとも、5年前はディズニーランドにも行きましたからね。
その好奇心を支えているのは、若いうちから続けてきた体操教室。そのお教室仲間、70代の方々とあちこち出かけているようです」
「新しい街、話題の街に行ってみようという気持がすごい!」「歌舞伎でも、お相撲でも、神社仏閣でもいいから、楽しみのために行こうという気持
が目標を作り出すんですねぇ」と、大先輩に感動いたしました。
4.気力のもと。凹んだ自分からの復活、好きなものへの執着心、見えてきた希望を確かめたい気持。
親の介護期間に学んだのは、元気に笑っている老人でいたいということ
●凹んだ自分からの復活 40代までは、気力で体力を引っ張っていた。60代を迎えると、気力と体力ば別々に育てる必要がある"気力は人生の楽しみや目標づくりで。体力は体との相談で。
●好きなら気力が湧くとは限らない。「好き」なものへの執着心次第になった。 闇雲に向っていくニネルギーはなくなっている。良くも悪くも分別が働く。溢れるほどのエネルギーで取り組むには狂気が必要。
●定年で「第二の人生」を迎えた人には、憧れ実現に気合いがはいる。 「定年」という踏み切り板の飛び方は着々と練ってきた。さぁ思い切り遊ぶぞ!体も鍛えるぞ!介護体験をまとめるぞ!と意気軒昂。
好奇心を目標にかえていくには、仲間づくりが一番
落ち込むと、「もういいや!」と精算主義に走る傾向があるという人も、「それを持続させてくれるのは、まわりの人たちです。続けなくちゃと思わせてくれるんです」と苦笑しています。
芽生えた好奇心を実行するには、「それはいい!やったら?」「一緒にやりましょう」「やってくれると、私も嬉しい」などの反応や期待が必要です。
そして、走り出してしまえば、今度は「夢半ばで倒れないぞ!」と体管理にも気をつけるし、運転資金が必要となれば「稼ぐか!」という意欲もわくというものです。社交ダンスをしている人は、「初めは体力づくりと思っていましたが、発表会で着る胸や背中が閲いたドレスに注がれる目を意識すると、ダンスの上達だけでなく、スタイルもよくしたい、キレイになりたいと、次々に自分への課題が出てくる」そう。
ひとりヴァイオリンに精進する天野紀子さんだって、聴衆の拍手やどよめきがあってこそではないでしょうか。
60代の気力、気合いは、目的意識から生まれています。
□希望が見えると、気力は膨らみます。
「気力って、体が元気に動いている時は意識しませんよね。体が弱ってくると、気力も一緒に先細りになる。それがこれまでのパターンだったと思う。
けれど、親の介護を通して実感したのは、気力の混乱。生活目標が立たなくて、一日のスケジュールも思うに任せない混乱の中で、気持も整理がつかなくてゴチャゴチャだったのね。
目的という終点が見えないうちは、気力も頑張る気持も生まれないんです。病気の治療だって、希望がはっきりしていないと、効果が出難いごともあるって聞きました」貝塚恭子さんの実感です。
□エネルギー過剰な人は、使い切る暮らしが必璽です。
「その人が持っているエネルギーというのは、それぞれなの。私の場合は過剰気味。 ですから、上手く使っていかないと、内向的になって、自分を否定するようなことになりかねない。
つまり、過剰なエネルギーを吸収する装置を自分の人生に設定しないとダメなの。例えば、ノンフィクションを書くのには、すごくエネルギーが必要なんだけれど、それが私には必要なんです。体力的に負担だなぁと思っても、それをしないとエネルギーは余ってしまう。でも歳をとって、それなりに上手になってきたと思います」。久田恵さんです。
□時間があれば、きりなくやりたいことが目白押しです。
「目下は、英会話、社交ダンス、フラワーアレンジメント、スキー、山登り、お茶・・。
英会話は、日本全国どこへでも一人で行けるのに、海外は言葉の壁。もう少し英語力をつけておきたいなぁと始めました。区でやっているから、安いんです。それに比べると、社交ダンスは30分3500円だから高いかな。でも、ダンスはずっと続けたいし好きです。楽しいし、緊張感もあって、お勧めです。
フラワーアレンジメントは、そろそろいいかなと思っているところ。発展性がないし、先生になるつもりはないし・・・。スキーや山登りは、友だちも多いし、一生ものです」と、山本加津子さんは、親の介護と定年とが重なって、自己バッシングしていた人とは思えない復活です。
けれど、山本さんには、もう1つの夢があります。
「あの1年半の介護を振り返って、きっちりまとめておこうかなと思う。10分間といえども目が離せない状態になってから我が家に来た義母への介護は、私にも家族にも夫とのつながりにも大きな課題でしたから・・。自分が特別な立場だったとは思わないけれど、あれは重い時間でした。
自分の心の奥底を傷つけながらの1年半でしたから」。
5.気合いを支えるのは、目標ネットワークです。 自分を語り、願いを共感し、人と触れ合って、元気になります。
元気になるから参加しちたい、という気持ちに応えるネットワークを増やしていきたい
●カルチャーセンター、スポーツクラブは、学ぶ鍛える人で大賑わい。 学ぶ・鍛える目標値は限りないから、1人より仲間と一緒の方が気合いがはいる。仲間がいることで、継続できます。
●人気のシニア向け雑誌は「私の生活情報源」として継続購読されている。 雑誌記事への共感が信頼に変わると、提供される旅行情報や通販も利用する。生活の充実を託すネットワークになっている。
●旅行会社のクラブ活動ネットワークは、遊び仲間の楽しさ拡大で大成功。 旅行をきっかけに、共通の関心事や趣味を楽しむ余暇仲間ができる。旅行会社は、旅にも「誘い合う」効果が期待できて、首尾上々。
親も子もいなくなった家をネットワークの場にリフォームします
「父がいなくなった家をリフォームして、いまは週末だけ開設している人形劇の花げし舎を常設にしたい」久田恵さんだけでなく、これまでの50カラット会議でも「子供が独立して空いた部屋を、訪ねてくる友達のゲストルームにして、友人間のB&B(Bed & Breakfast ) ネットワークつくります」「キッチンとリビングを人が集まれるようにリフォームして、ランチミーティングの場をつくります。これからの体に合わせたお料理を学ぶ場にもしたい」と、家の活用
には、積極的な意見が出ています。仕事を縮小したり止めたりすれば、交流範囲も頻度も狭まるのは、なにも男性の世界だけではありません。
けれど、女性たちには「それならこうすればいい」という実行力が旺盛です。
カルチャーセンターや旅行会社のクラブ活動の利用も、そんな女性たちで溢れているのです。生命力というか気合いというか、たくましいかぎりです。
信頼できるネットワークを味方にしていきます
□ 人気の50代雑誌が継続購読されている理由。
団塊の世代にむけた雑誌は、実にたくさん出ています。
最近では、定年を迎える男性層対象の雑誌も続々創刊です。けれど中々、成功している例は少ないのだそうです。
女性層対象では、書店売りはせず購読を申し込むスタイルの『いきいき』、書店売りの『ゆうゆう』が健闘しています。
その好調の理由は、どうも雑誌の記事への共感だけではないようです。
「もちろん、雑誌に登場する日野原重明先生への共感がブレークしたということはあるけれど、それだけではないですよ。その共感でつながった読者を対象にした旅行への提案や物販の通販で、しつかり囲っているのだと思う」
「そう!私も沖縄旅行に行ったわ。中年の女性ばかりで、ホテルでは告白大会になったり・・。ともかく仲良しになって帰ってきました。あれは妙な連帯感でした」
「値段は少々高めの設定だけれど、生活共感から生まれた信頼で納得する女性が参加しやすい提案にもなっているしね」
「旅行だけでなく、通販も使っている例えば手の形をとってオーダーメイドする手袋なんか、はめたままお金や切符が取り出し易い優れものだった・・もう買うものがないくらいにハマリましたねぇ」。
元編集者だった山本加津子さんは、個人ユースの雑誌が定期購読の難しさを次のように語っています。
「会社で経済誌をとるようなわけにはいかないの。1年間とってもらって、次の年もというようになるには、離れたら淋しくなるといった連帯感ができていないと難しい。仲間意識が生まれるとか、その雑誌経由で生活が充実する情報が入ってくる利点が作れなければダメなんです」。
成功している雑誌は、読者の心も生活もサポートしているのです。
□気合いを支えるネットワークとしての企業の役割
雑誌が誌面への共感や連帯感を某盤に物販をしているように、商品や流通単位でもしきりに情報サービスによるお客様ネットワークが行われています。
「ポイント制度などでの囲い込みは盛んですよね。でも、健康食品などの通販で、マイネットワークだと思ってもらう信頼を勝ち取るのは、ポイント制度のような損得だけの話ではないと思う」
親の介護で体験したことは、明日はわが身のこと。
凹んだ自分からの復活、好きなことをやり続けたい執着心、見えてきた希望を確かめたい気持が強い人たちは、そんな気合いを支えてくれる情報を探しています。企業の広報誌、会報誌も、人気雑誌に学ぶことはまだまだ多そうです。