2003年 発行所 「50カラット会議」
50カラット会議レポート
夏の特別号
「ビールの話、しましょうか。」
目次
1. 私たちのビール歴
2. ビールは、食前酒の定番です。
3.50代女性は、ビールの使い手です 4.ビールのコミュニケーションカ、フル活用中。
5. 軽いノリで過ごす時間には、なかなかの相棒ぶりです。
6. 「この場はこの方がもっと楽しい」が、ビール選びの基本です。 7.美味しい生活の情報源は、女性たちです。 8.ビール新商品の噂に迫ってみる。 付.サントリー(株)の方に、ビールのこと伺ってきました。
1.私たちのビール歴
若い頃は、酔うことが楽しみでした。
酒とつき合い始めたきっかけは、それぞれです。
マスコミや広告の世界で働く人は、「そこは“お酒が飲めて一人前’’が常識だった」と振り返ります。
飲まなければ、「気取ってる」「よくシラフで生きてられるな」などとバカにされ、悔しくて、意地で飲み始めたのがきっかけでした。
「夕飯の時には晩酌が当たり前の家庭で育って、実は18歳ぐらいから飲み始めました」と、肩をすくめる人もいれば、「学生時代から、一升瓶にコップ酒」のバンカラ派、「結婚して、 夫のお酒につき合うようになったのが最初」の人もいます。
最初は苦かったお酒の味。でも、ある時「あれ、美味しい!」に変わって、お酒のある暮らしが当たり前になりました。
けれど、「若い頃のお酒は、ただ酔っ払うためのものだったわね」と振り返るのは、マーケットコンサルタントの長原紀子さんです。
「そうそう、お金もないから安いウィスキーを買ってきて、コーラで割るなんて飲み方をして、ひっくり返ったりしてました」と笑う人もいます。「仲間と車座になって、ポテトチップス程度の おつまみで、朝までワイワイ飲んで騒ぐとかね」。
食べることはそっちのけで飲んでいた若かりし頃。でも、50代になった今は、お酒は食事のパートナーです。酔うためでなく、料理を楽しく美味しくするために嗜むお酒になりました。そんな皆さんが、「毎日の食卓に欠かせません!」とおっしゃるのが、ビールなのです。
このごろ、こんな飲み方しています。
40代までは大勢で元気に飲むのが楽しいビールでした。
最近では、夫や家族、親しい友人など気心知れた人たちと、一日の締めくくりのささやかな「乾杯」が、嬉しいビールです。
「お疲れさま!」「やれやれ」「美味しそうなものが並んだね」。理由は何でも、ビールグラスをカチンと合わせれば、気持ちもホッとひと区切り。
ビールを飲みながら、次はワインにする? それとも冷酒? などと、後のお酒を考えるのも食べる楽しみの一つになりました。
「一人の食事の時も、自分で自分に『ご苦労様』のつもりで、やっぱりビール」と言う人もいます。
「一人の時は、乾杯とは口に出さないけれど、美味しい時はーロ飲んで思わずうなっちゃう」のだとか。
若い頃のようにたくさん飲むわけじゃないのだから、ビールも冷たく冷やした小振りのグラスで、ゆっくり丁寧に飲みたくなりました。
2.ビールは食前酒の定番です。
ビールが定番の理由 その1 「最初1杯の幸せ感」
●家での食事も、外での食事も、「とりあえずビール」が大好き。
「私たちはビーラーなんです」を自認する50代女性です。夏はもちろん、寒い冬でも、まずは冷たいビールを一杯。
「あの最初の一杯が幸せなんです」と、作家の松原淳子さんがおっしゃいます。
「不思議ですよね、ーロ飲むとみんなニッコリして、思わず『あ一つ』って声が出る。そんな飲み物、他にありますか?」
確かに、ワインじゃつい気取ってしまって、「あ一つ」というわけにはいきません。それにウン
チク抜きで大らかに楽しめるのも、ビールならでは。あまり飲めない人でも、ビールなら「じゃ、ちょっとだけ」とひと口は参加。「あ一つ」を共有できるのも、良さだとか。
「あ一つ」の幸せ感は、「さあ、食事をいただきましょう」のセレモニーにもなっています。
ビールは定番の理由 その2 「胃袋もストレッチが必要です」
「とりあえずビール」は、喉を潤して口の中を洗い流し、「さて、食べるぞ」と、胃袋をその気にさせてくれます。
料理研究家の布城順子さんは、「食前酒のシャンペンと同じように、ビールも発泡しているから消化を助けてくれる。それに、適度なアルコール分が、血行を良くして食欲を刺激してくれるんですよね」とおっしゃいます。
シャンペンと違って、アルコールが効き過ぎないのも、食前酒としては万人向けのよう。
「ビールは、フットワークを良くするための、最初のストレッチみたいなものですね」とは、なかなか楽しいたとえです。
ストレッチが済んで、次に何を飲むかは、それぞれのチョイスにお任せです。
ビールは定番の理由 その3 「今日という日を、よきに計らってくれます」
「乾杯!」と、グラスを掲げ合う動作が一番似合うのはビールです。「一日の区切りとか、仕事の区切りとか、乾杯すると、 “何かが終わった”というような爽快感がありますね」。
というわけで、ビールは暮らしにメリハリをつけてくれるお酒。そんな意味でも最初の一杯に選ばれています。
うれしい出来事は、「幸せの積み重ね」、残念だったことは、「仕切り直せばいいか!」と思い切れる、のど越しの一瞬です。
3.50代女性はビールの使い手です。
料理に力が入った日は、ビールにも力量を求めます
「昔のお母さんたちのように、自分は立ったままで、家族のために台所と食卓を行ったり来たりなんてことはしないわ」と言います。 夫と二人や、家族と一緒の毎日の夕食では、簡単な料理を手際よく何品も作って、一度に全部テーブルに並べたらもう立たない。 「さあ、飲もう!食べよう!」とあとはビールで乾杯!が至福の時間です。
毎日のお料理は、特に”酒の肴”を意識して作ることはないそうです。ごはんのおかずがそのままおつまみ。和風あり、洋風あり、中華風あり。ビールなら、どんな味にもマッチしてしまうので気軽です。 とはいえ、コクも軽さも様々な種類のビールが出回っているこの頃です。料理や気分に合わせていろいろ選んでみるのが50代女性。夫たちのように”いつものビール”にこだわらず、スーパーで見つけた新製品、子どもが買い込んできた発泡酒などもどんどん試しています。 「料理に合わせてクラッシュアイスを入れて、お茶代わりにクイクイ飲むのも美味しいです」という人もいれば、画家の山口幸子さんのように、発泡酒をベースに発酵させて作るいろいろな味の「自家製ビール」を楽しんでいる人もいます。 また、料理に凝った日は、料理に負けない力量のあるビールが飲みたいと思っています。つまり「とりあえずビール」でも、「何でもいいから」ではないところが、さすが50代のキャリアなのです。
豪快に、にぎやかには、若い人たちにお任せ。心はウキウキでも、穏やかな飲み方になりました。
「アルコール度が低いから、あんまり体に負担をかけないで飲めますよね」「ワインと違って、どれを選んでも『期待していた割には・・』とがっかりすることもありません」。というわけで、50代女性にとって、ビールは日常的に飲めるフランクな飲み物。 料理を選ばないだけでなく、一緒に飲む人を選ばない、飲むが所も選ばない”コミュニケーション飲料”として活用されています。 「コーヒーじゃ水臭い、かといって日本酒じゃ親密になりすぎるような人間関係」とビール。「休日のランチにフランスパンのサンドウィッチ」とビール、など。穏やかで、でも心がフンワリ華やぐような時間の飲み物として、ビールが愛されています。
5.ビールのコミュニケージョンカ、フル活用中。
コミュニケーション力 その1 「料理を選ばない」
「イタリアンレストランでも、最初はビールって言いたいです」の声に、みなさん同感でした。肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインなどという約束事がないのがビールです。
何でも合うとはいえ、ビアホールで出てくるような唐揚げなどは、50代の体にはこってりし過ぎという意見もありました。
長原さんは、「家で飲む時は、たとえば冷凍のポテトにバターをちょっと乗せてオーブンで焼くなど、油っぽくなり過ぎず、でもビールに合う味を工夫している」そうです。
また、こってり系の料理にはコクのあるビール、さっぱり系の料理にはドライなビールなど、料理に合わせて種類の選び分けをしている人もいます。
「何種類か買っておいて、友人が来た時など『今日は何飲む?』って選ぶのが楽しいんです」これもまた、ビールの実力です。
コミュニケーション力 その2 「人を選ばない」
「たとえばそんなに親しくない男性と二人で飲むなら、ビールがちょうどいい距離を作ってくれます」とおっしゃるのは、フリーアナウンサーの深野弘子さんです。ビールは、ワインや日本酒にはない気さくでフレンドリーな関係作りが得意分野。
知り合ったばかりの人とでも、ビールで乾杯してしまえば、リラックスした仲間になれるようです。
コミュニケーション力 その3 「場所を選ばない」
食卓はもちろんのこと、お風呂あがりの一杯、プールサイドでの一杯、ピクニックでの一杯など、「ビールならどんな場所にも似合うわよね」。
昼間お酒を飲むのはちょっと……と言う人でも、ビールならOK。
「太陽とこんなに相性のいいお酒はビール以外ないでしょう」と言います。ジュースなどの甘い飲み物は苦手な人が多い50代女性にとって、ビールは大人の清涼飲料役をつとめてくれています。
6.軽いノリで過ごす時間には、なかなかの相棒ぶりです
ビールの原風景は”大人の贅沢”でした。
「明治時代の知識人の中には、ビールしか飲まないことを誇っていた人がいたらしい」という話が出ました。
「なるほど、ビールってハイカラで最先端の飲み物だったんだ」などと、ひとしきりビールの歴史談義が続きました。
ビールのイメージは、ハイカラとは言わないものの“大人’’という感じです。
子供の頃に垣間見た、父親が女喜しそうにビールを飲む姿は、まさに“大人の贅沢’’という印象だったそうです。
「近所に住む84歳のおばあちゃんが、ビールをクイッと飲む姿は、今見ても大人だなあ、カッコいいなあと憧れます」と、高城順子さんはおっしゃいます。
そんな50代女性がお酒を飲み始めた頃は、ビールはまだ高嶺の花だったそうです。 「仲間が集まってワイワイと量を飲む時代だったから、ビールだと高くついてしまうんですね。もっぱらウィスキーや日本酒でした」。
ビールを味わう楽しみが始まったのは、40代からのことです。
それでも、40代は上り坂をひたすら走る爆走期。仕事も家庭生活も大忙しで、ビールを飲むのはもっぱら外で。味わうというより、仕事仲間や友人たちと大勢で騒ぐのがメインだったそうです。
子供も独立、仕事も自分流を見つけて無理しなくなった50代、やっと自分の時間を使えるようになって、ビールの飲み方も、昔憧れた“大人の贅沢’’に近づきました。
「家でゆっくりビールを飲むなんて、昔は週に1、2回だったのに、今は、ほとんど毎日の夕食にビール。冷蔵庫にビールがあるのを見ると、肩の力が抜けて幸せーってて思いますね」としみじみ話すのは松原淳子さん。ビールの飲み方で、“大人度”が分かる今日この頃です。
ビールは暮らしの楽しみをバックアップしてくれる
自分の時間ができた50代女性は、暮らしの中に、様々なゆとりのひとときを持つようになりました。
「旅行をするのでも、観光やショッピングで飛び回るより、ビーチに寝そべって一日中本を読むのが好きになりました」と言う人がいれば、「テレビで我慢していたスポーツ観戦も、最近は直接試合会場へ行くのが楽しみ」と言う人もいます。
そんな時間の相棒がビール。ビールは、50代女性の暮らしに、新しい楽しみを運んできてくれました。
ビールは体の元気をバックアップしてくれる
飲んでハッピーが、体を活性化します。
「ワインのポリフェノールのように、ビールにも体にいい成分が入っているかどうかは知らないけれど……」と前置きしつつ、「一杯目のビールが喉を滑り落ちた時、体に生気が戻る感じがして元気になる」「新陳代謝が良くなる感じ」と、飲む量さえわきまえていれば、ビールは50代の体にしっくりくるようです。「最初の一杯の『美味しい!』でハッピーになれば、それが体の活性化につながると思う」とおっしゃるのは松原さん。
「健康、健康と目くじらたてずに楽しんじゃえ!」が、ビール好きの本音のようです。
美味しい時が、やめ時
「若い頃は何杯飲んでも二日酔いにもならず、元気、元気!」だった人でも、50代になって、お酒が翌日に残るようになったと嘆きます。
「昔は体カ 気力で飲めるだけ飲んじゃっていたのね」と、深野弘子さんも、最近では、このぐらいでやめておこうかな」と計算するようになったと笑います。「ビールなら500ml缶1本でも満足できて、翌日に残らないからいいですね」。
高城さんは「美味しいって思うところでやめるのが、ちょうどいい」とおっしゃっています。お酒の楽しみを、「量より質」に求めるようになった50代です。
気になるのは、カロリー
毎日ビールを飲む人は、カロリーオーバーが気になっています。
「ビールで太るんじゃなくて、ビールが美味しいとついつい食べ過ぎちゃうから太るんじゃない?」との声もありますが、それでも、やっぱり毎日のことだから気になります。
美容研究家の仁くすのきさんは、最近、発泡酒の『ダイエット』を試してみたそうです。「カロリー50%オフ」の言葉にひかれました。
最初は「発泡酒は、なんだか味が薄そう」と思っていたそうですが飲んでみたら「けっこういける」。最近ではお風呂上りの定番ビールになったとのことです。その話に「美味しいなら」と、興味津々の人も多数でした。
7.「この場には、この方がもっと楽しい」が、ビール選びの基本です。
女性たちはビール選びも自由です。
初めて飲んだビールは、『キリンビール』でした。まだ飲み慣れてない舌には、苦み走った大人の味。『キリンビール』は、今でも父親世代のビールのイメージです。
次に飲んだのが、夫に勧められて試した『アサヒスーパードライ』。「あらっ!」と驚くほどスッキリ爽やかでキレがある。「これもビールか」と、ちょっと衝撃でした。
最近では、『エビスビール』が印象的です。CMの影響か、こちらは‘‘板前推奨の本格派”のイメージ。お料理の味に負けないけれど、ジャマをしないコクがあって、後口が良い。特別な食事の時に選びたいビールです。
こんな風に50代女性は、様々なビールとつき合ってきました。十分に吟味して、それぞれの良さも分かっています。
そして今も、新商品には「どんな味だろう」と、いつも好奇心旺盛です。
「これが美味しかった」とのロコミ情報にも敏感ですし、スーパーで試飲会をしていれば、買い物ついでに必ず試してみると言います。
「男性は『この会社のこの銘柄』と決めたら、それしか飲まない人が多いけれど、私たちは違います」。冒険しない男性とは違って、女性は、飲む場所や雰囲気に合わせて、その場その場で自由にビールを選んでいます。
「メーカーやブランドにこだわるより、そのほうがずっと楽しい」が、選ぶ理由です。
美味しいビール、好きなビール、楽しむビールを使い分けます
◆美味しいビール 料理研究家の髙城さんは、「お料理で“コク’’と言えば、油などの濃厚な味のことですが、それではビールの“コク’’はと言えば?を考えました」とおっしゃいます。その結論は、「深みがあって重なり合った味」とのこと。コクのことを「まったり」と表現してくれた人もいます。
まったりとコクがあって、料理の味に負けないビール。しかも、炭酸の刺激が料理の味をジャマしない。そんなビールが、50代女性が考える美味しいビールです。
「泡も美味しさの決め手」とおっしゃるのは、パッケージデザイナーの井上陽子さんです。
「シルクのようにきめ細かい泡ほど美味しい」のだそうで、「グラスに注いだ時に、泡の幅が2、3cmになるのが、美味しく飲めるちょうどいい分量」なのだとか。「大ジョッキで飲むと泡がなくなってしまうから、小さいグラスで飲むのが好き」と言う人もいるほどです。
泡は、注いだ時の「美味しそう!」を演出するものでもあります。見た目の美しさも、美味しいビールを決定づける大切な要素のようです。
◆好きなビール お風呂あがりや、休日のランチ、アウトドアでのひと休みに、水やお茶代わりに気軽に飲めるビールが好きです。
「苦くもなくスーッと飲める発泡酒が、最近のお気に入り」と言う人が、50代女性にも増えています。
水代わりに飲む時には、カロリーカットや糖質カットをうたった発泡酒を選ぶという人も、出てきました。「ところで、発泡酒とビールはどう違うの?」が、話題になりました。
「のどごしの良さが違う」「発泡酒は薄い感じ」「価格が違う」「麦芽の使用量が違うらしい」「でも、アルコール度数は同じ?」など、いろいろな感想やら疑問が出ました。
実際試してみると、「ビールだと思ってグイッと飲んで、『あー、美味しい』と思ったら、実は発泡酒だったなんてことがあるんですよね」と言う人、「いや、やっぱりビールは『ビール』って、味が主張しているから分かる」と言う人など、さまざまでした。
「食事の時は「主張のあるビール」がいいけれど、ゆとりの場面で気軽に飲むなら、発泡酒のさり気なさが好き」。そんな使い分けが自然に行われているようです。
◆楽しむビール 中国料理店へ行ったら「青島ビール」、ベトナム料理店なら「333」旅行先なら地ビールをオーダーしてみるなど、「いろいろなビールの味覚を面白がって遊んでいます」と言う50代女性です。
時には、世界各国のビールを集めたバーヘ行ってみることもあるそうです。味を試す楽しみもさることながら、瓶の形やラベルのデザインが何ともオシャレで楽しいのだとか。リンゴの味や、ラズベリーの味がビールに合うことも、そんな輸入ビールで体験しました。
レモネードやジンジャーエール、オレンジジュースやトマトジュースで割るカクテル風の飲み方も、場面や気分に合わせて楽しんでいます。
8.美味しい生活の情報源は女性たち
夫は頑固だけれど影響されやすい
「いったん、これと決めたら、それしか飲まない」「頑固なんだから」と、女性たちには不評をかっている夫たちですが、妻が勧めたものには案外素直に手を出すのだそうです。
「男性は、頑固だけれど、影響されやすいのね」と微笑むのは佐藤千恵子さん。
「学生時代に先輩から飲まされたり、合宿で仲間と一緒に飲んだビールに思い入れがあるんですね。でも、『何が何でもこれ』と言えるほど、他のものと飲み比べているわけじゃないから、他に美味しいものがあれば、すぐに考えを変えるんですよ」と笑います。
女性たちの情報源は、一つが仕事仲間や趣味の仲間たちです。一緒に飲んだり食べ歩いたりをする中で、新しい味を発見したり、「あれが美味しかった。今度はこれを飲んでみて」などと、クチコミ情報を広げています。
備前焼や真鍮のビアグラスで飲むと、木綿豆腐が絹ごし豆席に変わったぐらい、泡が繊細になるよ」などの話も、女性同士で交わされています。
また、広告やテレビのコマーシャルにも敏感です。新しい商品に関しては「試してみよう」と好奇心も旺盛。
実際、売り場へ行った時には、缶のデザインを見比べてみたり、「麦芽100%」「コーンスターチ入り」などの細かい成分表示にも、こだわるそうです。
「夫は表示なんか読まないから、私が教えてあげるんです」と言う人もいます。「新しいものは、みんな私から」。
家族が「へえー」って興味を示すと、なんだか鼻高々の気分です。
美味しいデザイン
店頭で何を買おうか迷った時は、パッケージのデザインで選ぶという人がいます。
その決め手の一つが、「テーブルに置いた時、美しいかどうか」「我が家の冷蔵庫に入っていて、イヤじゃないかどうか」なのだそう。
感覚の問題と言ってしまえばそれまでですが、「黄金色はいかにも美味しそう」「チョコレート色の缶は、ビールのイメージがしない」「『ダイエット』は、一見コーラのように見える」などの意見がありました。
『ダイエット』に関しては、50代女性のファンも多いのに、見た目のイメージが男性向け。「いっそバラの花をモチーフにするぐらいの思い切りが必要では?」と、アイディアも飛び出しました。
『ダイエット』という商品名は、「レジに持って行く時、一瞬躊躇しませんか?」と言う人も。
「そんなことしてまで、お酒を飲みたいか?と、切なくなる」と、50代女性の美意識はなかなか厳しいのです。
商品名では、『純生』や『竹炭濾過』など、日本語ロゴが目立っている印象だそうです。
美味しい原材料
日本酒も水で味が変わるのだから、ビールも水が大事と考えています。
「天然水100%」などの表示があると、「美味しいのかな」と期待します。
井上陽子さんは、「山梨県で飲んだ『エビスビール』は、東京で飲むものより美味しかった。産地の水が違うからか」と、かねがね思っていたそうです。
産地の水で味が変わるなら、「いっそ千社札を貼るようなイメージで、『〇〇産の水』とハッキリ銘打っても面白いね」とのことです。
また、「麦芽100%」の言葉に、“本物のビール”を感じるからと、選ぶ基準にすることも多いそうと言います。
「コーンスターチが入っていると、買うの、やめよ」と思うのだそうです。
けれど、コーンスターチの役割とは? とじっくり考えると、実はよく知らないことに気づかされるのだとか。
「ビール会社にいろいろなこだわりがあるのは分かるけれど、そのこだわりがイマイチ私達に伝わっていないのが現状ではないでしょうか」
他にも、「糖質50%オフ」と「カロリー50%オフ」はどう違うのか? など、疑問に思っていることがあるそうです。また、表示が小さくて見にくいとの意見もありました。
美味しいCM
「ビールと言えば、男性タレントが出てきて、“ガッと喉の乾きを潤します!’’みたいなCMばかりですね」という印象です。
「躍動感や清涼感だけでなく、女性がきれいにビールを飲むものがあってもいいし、もっと違うビールの飲み方をイメージさせて欲しいよね」が、皆さんの意見です。
ひと頃の『エビスビール』のCMは、中に登場した「エビスビールあります」の張り紙と共に、「記憶に残っている」という人が多数でした。
「高級な日本料理店へ行ったら、やっぱり『エビスビール』を注文しなきゃ、という気にさせられた」といいます。
ビール会社には、あんな風に新しいコンセプトを打ち出してくれることを期待しています。
9.「ビール新商品」の噂に迫ってみる
あのヱビスビールより高い「サントリーザプレミアムモルツ」を飲んでみる
『モルツ生ビール』は、「麦100%」と「天然水」の表示にひかれて「飲んでいる」という50代女性が多いビールでした。
「ヘンな物が入っていない、キチンとビールを造っているという信頼感がある」とのこと。
スッと飲めるのど越しから、食事と一緒に飲むというより、ゆとりの時間に気軽に飲める“好きなビール”と捉えられています。
『モルツ生ビール』が「夏の海辺で飲みたいビール」だとすれば、「こちらは、お部屋の中で食事と一緒に楽しみたい‘‘美味しいビール’’」と評されたのが、『ザ プレミアムモルツ』でした。
ひと口飲んで、「香りがいい」「コクがあって美味しい」「泡もなめらかで、美味しいですね」と いう声が上がりましたが、深野さんは「このビールはうまみが強くて、かなり主張のあるビール。それ以上に主張のある本格的なお料理に合わせないといけませんね」とおっしゃいます。
「そう。日本料理より、ちょっとこってり系の洋風料理のほうが合うかもね」とおっしゃったのは、髙城さんです。「あっ、でもちょっと待って・・」と、2口、3口とじっくり飲んだ髙城さん。「分かった!この味は、和風料理ならぶりの照り焼きと合う!」と叫んだのには、さすが料理研究家と、皆さんびっくりでした。
「確かに、コクもうまみも強いから、一杯目に『ザ プレミアムモルツ』を飲んだら、次はワインって感じですね」「うん、これに対抗できるのは、ワインしかない。純米酒じゃ弱い」と、早速食事シーンを想像してみる人もいました。「食前酒もいいけれど、お腹がいっぱいになった後の食後酒にもいいかも」。
若い人がザブザブ飲むビールじゃなくて、大人仕様。しっかりした味と香りを、ゆったり楽しみたいビールと受け止められました。
デザインは、ヨーロッパスタイルの大人顔
金色と紺色の組み合わせは、「日本のものじゃない、ヨーロッパの国のビールという感じ」と言う人、「高級感があって、プレミアムの名前と合っている」と感じた人など、おおむね好評でした。
グラスの形に見立てたデザインも、「スッキリしていて上手いデザイン」との評価でした。
その価格は、自分にご褒美、友人にギフト
「ユニクロが不振なように、安けりやいいというものじゃない。安いものをどんどんダース買いするようになると、嗜好品としてのビールの楽しさ、面白さがなくなってしまう」と、安いビールと高いビールの両方があっていいと考えるのは、井上さんです。
松原淳子さんも、「『モルツ生ビール』はカジュアルに飲むもの、『ザ プレミアムモルツ』は特別な日に飲むものと、使い分けしたい」とおっしゃいます。
地域新聞の発行人である佐々木道子さんは、「大人になったら一生懸命仕事をしてお金を稼いでフェアレディzを買いたいとか、そんな気持ちが私たちの世代にあったじゃないですか。それと同じで、大人になったら飲みたい憧れのビールがあってもいい」とおっしゃいます。
『ザ プレミアムモルツ』は、大人の特権。そう思えば『エビスビール』より10円高いのが、かえって関心を呼ぶとの声も。
「10円高いことが、友達を呼んだ時の話題になって盛り上がる。そういう遊びができるのも大人だからこそ」なのだそうです。
ともあれ、「贈り物にいただいたら嬉しいビール」なのは、間違いないようです。
「天然水100%」にはもっとこだわりの表現を
「『天然水100%』を使用できるのはサントリービールだけ」なのだそうです。でも、何かピンと来ません。
「水道水と天然水の違いは何だっけ?」などと、天然水のイメージは良いものの、水そのものに関する知識となると、今一つの50代女性でした。
それでも、「4つの工場が4つの水系から汲み出した天然水で造るビール」には興味あり。
「どうせなら、その4つの味の違いを強調してくれたほうが、こだわり派には嬉しい」と言います。
「たとえば、水系別にパッケージが色分けされていれば、一缶ずつ買って飲み分ける遊びが できる」「お客様がいらした時、その方の出身地に近い水系のものをお出ししたらウケるかも」。楽しい企画はいろいろ。さすが文筆がお仕事の方々の意見でした。
“知る人ぞ知るビール”がカッコいい
「“男は黙って……”のビールの時代は過ぎたと思う」とおっしゃるのは佐々木さんです。
「そう。『ザ プレミアム』は、美味しい食事と一緒に飲みたいビールだから、男は黙ってじゃないよね」と誰かが言えば、「じゃあ、女は黙って?」とまた誰かが答えて大笑い。
自分たち世代の大人ビールの登場に、CMアイディアも次から次へとわき上がるようです。
「女性が集まって、にぎやかに食卓を囲んで乾杯!」もいいし、「80歳のおばあちゃんが、飲んでいるシーンもカッコイイ」。差別感を出すためには、いっそテレビCMはやめて、‘‘知る人ぞ、知る”のビールでいるのもいいかもという意見も出ました。
楽しくて豊かで穏やかな食卓に似合う上質なビール。50代女性のこれからの暮らしの相棒になりそうです。
付.サントリー(株)の方に、ビールのこと、伺ってきました
Q.コーンスターチが入っているビールは、本物のビールじゃない?
A.いいえ。
主原料の麦芽使用率が67%(3分の2)以上ならば、法律上は本物のビールです。
麦芽使用率がそれ末満であれば、それは発泡酒と呼ばれ、ビールとは区別されています。ちなみに、アメリカの『バドワイザー』はこの麦芽使用率が50%以下。そのまま日本に輸入されると、ビールではなく、発泡酒の分類になってしまうというわけです。さて、もし、あるビールの麦芽使用量が67%ギリギリだったとしたら、あとの33%には、どんな原料が使われるのでしょうか?
実はその内容も法律で定められています。
米、コーンスターチ、とうもろこし、大麦、コーリャンの5種類です。
各ビール会社は、麦芽やそれら副原料の微妙な配合について研究を重ね、それぞれ独自のビールの味を作り出しているのです。50カラット会議の話にも出てきた『スーパードライ』や『一番搾り』は、人気の高いビールですが、67%以上の麦以外は、コーンスターチや米などを使っています。
そんな中で、サントリーの『ザ プレミアムモルツ』は、そうした副原料を一切使わず、麦100%で作られたビールです。
法律ではなく、飲む人の舌と心に“本物”の味わいを提供しています。
Q.「天然水100%仕込み」と言えるのはサントリービールだけ?
A.はい。そうです。 ビールの92%は水で出来ています。水の品質の善し悪しが、ビールの味に大きく影響を及ぼすのです。そのためビール工場を建設する際には、ビール醸造に適した水を得られるかどうかが大切なポイントとなります。
けれど、良い水を求めれば、どうしても自然豊かな山深い場所へ行くしかありません。輸送コストなどを考えると、なかなか実現不可能なのが現実です。
その不可能に、あえて挑戦したのがサントリーです。コストを度外視して、徹底的に水にこだわったのです。
赤城山水系に立地する「利根川ビール工場」、丹沢水系の「武蔵野ビール工場」、天王山京都西山水系の「京都ビール工場」、南阿蘇の外輪山水系の「九州熊本工場」。
全国4カ所の工場では、いずれも、豊富で良質な地下の天然水を汲み上げてビールの仕込みを行っています。水道水との違いは、味わっていただければ分かるはずです。このビール作りの環境は、今のところ他社には真似のできないもの。ですから、「天然水100%仕込み」と言えるのは、やはり、サントリービールだけなのです。
Q.「ザプレミアムモルツ」の香りがいいのは何故ですか?
A.「ザプレミアムモルツ」には非常に香り高いヨーロッパ産のアロマホップを通常のビールの2倍使いました。 また、この香りを最大限に引き出すため、麦汁の煮沸開始時に入れるホップに加え、最終段階でもう一度加えるという、「アロマリッチ ホッピング製法」を採用しています。これが、『ザ プレミアムモルツ』の華やかで芳醇な香りの秘密なのです。
Q.ビールに泡があった方が美味しいのは何故ですか?
A. 泡は、ビール内に含まれるたんぱく質・炭水化物・ホップ成分などが炭酸の気泡に付着してできるものです。 ビールは、酸素に触れると、どんどん気が抜けてしまうと同時に、麦や酵母が醸しだす香りも失ってしまいます。泡は、それを防ぐべくフタのような役割をしてくれるのです。
サントリーは、この泡持ちを良くする成分である泡タンパクの研究では世界一の評価を得ています。サントリービールの美味しさは、こうした泡研究の地道な努力にも支えられているのです。
また、「泡が美味しいビール」と感じるのは、新鮮な酵母を使っていることにもよるものです。いまや、工場から食卓までの距離は、流通の整備で、とても短くなりました。「鮮度」といえば、どれだけ元気な原料を使っているかという時代なのですね。