50カラット会議

22号 気持ちいい体をつくる食卓革命

2002年3月 発行所 「50カラット会議」

50カラット会議レポート 

22号

 

気持ちいい体をつくる食卓革命

私たち、食べることにかけてはコスモポリタン。 高度成長期の消費文化に続いて、外食産業の拡大を体験して、趣味欄に「食べ歩き」と記した年代です。
それが最近、わが体に目を向け耳傾けると、体重・体型・体調に、予想外のリズムを発見します。
けれど、「体にいい食べ方」と言われて浮かぶのは、「低カロリー ・低塩・低糖・低脂肪・味も量も控えめに」という文字。次に、「諦めなければ
いけない大好物」が頭をよぎります。
いやいや、それはヘン! 何だって、食べ方次第ではないでしょうか。ハンバーグを大根おろしで食べるあの知恵、そのハンバーグをお豆腐で
作って、野菜たっぷりのソースをかけて食べるあの工夫に代表される体の労り方は、私たちの得意技。腕の見せどころのはずです。
中国薬膳、東南アジアの野菜の食べ方、地中海式食習慣、日本の伝統食 etc. 気持ちいい体づくりのヒントを得て、食卓革命始めます。

 

蛇の道はヘビに聞くシリーズ⑱

 

目次

1.50代からの食は、「胃もたれしない」が目標です。
2.体が変わったのだから、体に負担のない食生活へ。
3.気持ちいい体で生きていくための食べ方を身につけたい。
4.体に必要なものを、美味しく食べるメニューの広げ方。
5.医食同源の思想+栄養バランスで、食事を考える。

 

1.50代からの食は、「胃もたれしない」が目標です。

世界の味を体験してきた50代外食ブームで「世界の味」を食べ歩いた。海外旅行で本場の味づくりも覗いてきた。子育て期にできたわが家の「和風」は、和洋中華エスニック折衷ボリューム料理。

テーマ①体が変わったのだから体に負担のない食生活に移行したい。消化力は低下した。肥満も気になる。生活習慣病にも気をつけたい。

テーマ②体にいい「食べ方習慣」を取り入れたい。医食同源、薬膳、伝統食には、忘れていた知恵がいっぱいらしい。

テーマ③体に必要なものを、「美味しく食べる料理法」を工夫して、いろいろなメニューを楽しみたい。もっと自由に、もっとバランス感覚を養いたい。

料理コスモポリタンは、世界中から「体にいい食べ方」を探す。

「最近、和風の食卓になりました」という声を聞きます。この「和風」、和風ドレッシング、和風ハンバーグという言い方にも伺われるように、日本伝来の調味料や日本の食卓になじんできた素材との組合せの総称です。ご飯に合う食べ方でしょうか。 夫婦になった食卓では、私たちが子供だった頃の家庭料理も再登場。忘れかけていた煮魚が復活したり、グリルでお魚も焼き始めました。値段が張るお魚も、量より質だからと納得するという素材主義の50代です。

けれど、煮たり焼いたりは、どうしても単調になりがち。おまけに、お砂糖やみりんでの調理は、糖分も気になります。そこで思いつくのが、彩りの野菜との合体。中国料理の野菜たっぷりのあんかけ、地中海料理のカポナータ(フランス料理ではラタトーユ)と合わせてみるのは、いかがでしょう。
となると、お魚は、煮るより「蒸す」、オリーブ油で焼いても美味しそう。
今こそ、食べ歩きの成果が花開きます。しまっているあの器も、出番ですよ

みんなの声

□ 一品でおわりという食べ方はしません。
お腹はいっぱいになるけれど、気持ちが空いたままになる食べ方は避けようとするようになりました。方法は、少量多彩の食卓づくりです。スパゲティも豚カツも、これまでの半量が1人前。お皿が小さくなって出来た食卓のすき間は、冷蔵庫にある常備菜や、その日デパートの食品売り場でみつけたお惣菜などで、賑やかにします。
ゴマの話題を小耳にはさんだ日は、サラダに和風ドレッシングにゴマをふって、見た目と味に変化もつけます。漬け物や残り物も、小鉢小皿に可愛く盛って並べると、肴いろいろ風。胃袋は、お皿の数で満たされることもあるのです。

□ 確かに、食べる分量は減りました。食べ物が変わったというより、食べる量が減ったという実感は、多くの人が持っています。ただ、食べる量が減ってくると、食べ方も変わってきます。メインディッシュにボリュームを求めないので、同じ肉料理でも、ミニ版になりました。その分いつものお皿には、付け合わせの工夫が要ります。
付け合わせは、近所の取れたて野菜とかベランダ菜園のハーブなら言うことなし。「いつものあれ」の引き立て役は、やっぱり季節の香りが一番です。

□ 食べ方がライトになりました。年をとったからイタリアンはだめ、メキシカンはだめというよりも、どのように調理するかが大切。色々な国との折衷料理を食べてきたのですもの、食べたいなと思ったら、それをさっぱり味で食べる工夫をするようになりました。
生まれが京都だという北村光世さんは、「子供の頃に培われた味覚は残りますね。
イタリア料理も、北イタリア料理は、私には少しヘビー。南のトマト、ニンニク、オリーブ
オイルベースが自分向きです。南でもトスカーナは塩気が強いのだけれど、自分のテイストに合わせてアレンジする」と言います。

□ 魚の登場頻度が高くなりました。
都心から湘南に引っ越したという人は、「新鮮な魚が捕れるのですもの、食べなくちゃと、お魚をタイ風、イタリア風と素材に取り入れています」と、羨ましい発言でした。
けれど、大方の人は、「経済力が出来て、お魚が食べられるようになったのでは?」と言います。
肉は、同じ店で何段階ものランクがあるけれど、お魚には、それがありません。
1匹丸ごとの煮魚にするようなお魚の値段は、耳を疑う程ですから、素材主義になった50代ならではともいえそうです。
また、お魚といえば、「お刺し身」は食卓の定番ですが、お魚派に転じたという人はお刺し身の食べ方を開拓中です。
それこそ、手巻き寿し風に、葉っぱや生春巻の皮に、数種の野菜とクルクル巻いて、スパイシーなタレでいただくのだとか。料理コスモポリタンの面目躍如です。

 

2.体が変わったのだから、体に負担のない食生活へ。

何が必要か

①生活の変化への対応が必要になった。環境的に、エネルギーを使わない生活になっている。運動不足は慢性的だから消化にも影響は大きい。

②体のみため(肥満・美容)への対応が必要になった。動作も重いし注意力も散漫になっている。40代までと同じ食生活では太るし肌への影響も大きい。

⓷生活習慣病予防や抑制への対応が必要になった。少量多彩な献立を配慮するエネルギー源は穀物で、おかずは栄養調整役と心得る。

➡体の声に耳を傾けてみると、自分の体に多すぎるもの、足りないものを発見できる。

食べた後、気持ちよければ大丈夫。

疲れたから肉を食べて元気つけようとして、胃がもたれてしまった体験は、消化吸収能力がついていけなくなった体を実感して、ドキッ!でした。
若いときは、エネルギーがあるから、食べたそばから燃焼してしまうけれど、今は溜め込んでしまう一方なのでしょうか。
「つい食べてしまうので、いつも太る不安がある。甘いものとか、ピザとか、食べたいと思っては、ダメダメなんて、自分に言い聞かせてる」という発言に村上祥子さんからは「健康なのだし、3食を2食にすればいいじゃない?」。
あれはダメ、これもダメと楽しみを狭めていくより、食べ方への発想の転換が必要だと教えていただきました。
ところで、代謝が悪くなるのは、運動量が少なくなる生活の仕方にも、大きな原因があるようです。
動作が鈍い生活、注意力散漫な暮らしぶりは、エネルギーを使わないので代謝が悪くなり太るという結果です。体管理は、食べ方だけでなく、暮らし方にも要注意です。

体に耳傾けるということ。

□ エネルギーを発散しない体は、塩分も欲しがらない。
体を使って働く人が塩をなめていたという昔話にあるように、汗する体には塩分が必要なのだけれど、体を動かすのも最小限という暮らしをしていると、食べるものも薄味になっていくのは、自然の成行きです。習慣的に、舌が濃い味を好んできた人が、自然に体が薄めを選ぶようになったり、量を控えたりするのも、体ってそういう風に出来ているのねと納得する現象です。けれど、エネルギーを発散しない体でいることは、エネルギーをつくり出さない体を容認していること。
しっかり食べられて、しっかり発散出来る暮らしをめざすことは、大前提です。

□ 消化能力は、確かに落ちています。
すごく美味しく感じるのに、あとで、少し控えておけばよかったとか、選んで食べれ   ばよかったとか思うことがあります。胃がもたれる、お腹にガスがたまる、便秘にもなりやすいのです。けれど、消化力を強くするという食事があるわけではありません。
子育てしていた頃に出会ったお医者さまでしたが、「胃がもたれるからといって、お粥をズルズル飲むように食べてはだめ。いつものご飯を、いつもよりしっかり噛んで食べる方がいい」と言ってらしたのを思い出します。食べたくないものを食べる必要はありませんが、量を控える、よく噛むことで、体に無理をさせないことも出来るのです。

□ なにも「3食」で暮らさなくてもいいのです。
「トータルエネルギーの問題だから、そんなにきっちり食べなくてもいいのじゃないでしょうか。江戸の時代はまだ2食だったそうだし、明治以降に準じなくても」という村上祥子さんの意見には、目からうろこが落ちた気持ちです。
規則正しい食生活=3食キチンとという図式は、朝と夜キチンと食べるということでクリアできないことではありません。1日の食事を2回に分けて、朝ごはんを非常にていねいに美味しくいただく、そして夕べには、昼間体を使ってぺこぺこになったお腹に、好きなものをゆっくりいただくということでいいのです。
ただし、これは、エネルギーの消費をテーマにした考え方です。おまちがえなく。

□ いろいろな食べ方を試してみる。
体にいい食べ方を数字で示された時の戸惑いは、そのまま「続けられない」という諦めにもつながります。いったん数字のことは忘れて、「胃にもたれない食べ方」にだけ注意を払ってみてください。その方法は、素材をかえたり、調理法や味付けを変えるだけ。昨日と違った食べ方をテーマにするだけでも、食べ方は広がってきます。その内、体にも心にもピタッとはまる、気持ちいい食べ方に出会うはず。自分の体用オリジナルは、自分でつくるのが一番です

 

3.気持ちいい体で生きていくための食べ方を身につけたい。

学びたいこと

①伝統食にある考え方を学びたい。伝統の食べ方には、体を守る力がある。自然の恵みを食べてきた歴史の中で、体にいい食べ方が伝承されてきたのだから。

②体に負担を生まない調理法や食材の選び方を学びたい。これまで親しんできた料理、好きな味を、上手に食べ続ける方法を身につけたい。

⓷体の基礎をつくり、体調を整えていくための栄養学と実践法を学びたい。「減らす」ことだけをテーマにしたくない。必要なエネルギーをどんな成分構成でとるかが課題だと思う。

➡美味しいものは体に悪い」という発想はやめたい。食べ物は毒じゃないのだから。「体にいい食べ物」を探すのではなく、美味しいもの、好きなものの「賢い食べ方」を探したい。

 

「プラスチックのしその葉」

お弁当の仕切りに笹の葉デザインのプラスチックが使われているのは、彩りのお飾り用と笑っていたのだけれど、お刺し身にプラスチックのしその葉が敷かれているのには、びっくり。
日本の伝統料理は、形ばかりが珍重されていることの代表的現象です。組合せ、付け合わせには、それなりに意味があってのこと。「プラスチックで」という発想には、食べ物への愛情というものが感じられません。最近「体にいい食べ方」を学ぼうとすると、真っ先に出てくるのは「薬膳」「医食同源」という、中国食文化の思想です。体を補う「補」と、体から要らないものを出す「瀉(しゃ)」という考え方に注目しています。「補と瀉」は、体に必要なものを必要なだけキチンと食べて、しかもキチンと出せる食べ物、食べ方を表す言葉だそうです。私たちも、冬は温かいもの、夏は体の熱を取るものという食べ方をはじめ、栄養分たっぷりの旬のものを食べる知恵をもっていますが、それも、段々いい加減になりました。
気持ちいい体でいるために、食べ物との付き合い方を見直します。

 食べ方への提案

□ 薬味、付け合わせは飾りじゃない。
お刺し身のつまは、消化を助ける役目、しその葉やワサビは殺菌役。肉料理のクレソンも、焼き魚の大根おろしも、消化を助ける大事な脇役です。なのに、付け合わせる方も、食べる方も、いい加減になってはいないでしょうか。しその葉にしても、農薬たっぷりの輸入品のニュースがあると、プラスチックの方が安全だなんて言うけれど、本末転倒。体に必要なものを食べることを前提に、安全性を確保するのが筋というものです。
食べる方のいい加減は、「残す」こと。必要だから付いているものを、飾り感覚で受け止めるようになってしまいました。飾りではないといえば、イタリア料理のハーブ。ハーブは、もともと煮込む料理やオーブン焼きをするときに、食材と一緒に混ぜて使う香味野菜で、消化を助けたり、防腐剤の役目をしたりの黒子役です。それが、料理雑誌の撮影では、「イタリア料理」を表現するトッピング扱い。イタリア食文化を研究する北村光世さんも、困ったことと嘆きます。また、東南アジアの香味野菜は、代謝促進の立役者。コリアンダー、ンゴー、チャイブ、ニラ等は、消化を助けて汗を出します。
これまで民族衣装の飾りのように眺めていた野菜たちを、生春巻の皮で包んで、召し上がってみませんか。

□「蒸して」みませんか?
味を逃がさず、素材を生かす料理法に「蒸す」があります。蒸すのは、魚貝、肉、野菜、何でもOK。蒸すと、人間ならサウナ状態。余分な脂分は落ちて、皮膚は柔らかく瑞々しくな   効果があると解釈しています。最近では、蒸し器や蒸籠(せいろ)は場所を取って…と敬遠れて、持っていない家庭も増えているそうです。電子レンジでもできないことはないのです、蒸気をあげて作り上げる料理時間はときめくひとときでもありますから、蒸籠をお勧めしす。
旬の美味しさ自慢の素材なら、調味料は不要でしょうけれど、蒸している間に、タレ   づくりはいかがでしょうか。オリジナルの「myタレ」に、きまりは不要です。レモン汁ベース、りんごのすりおろしベース、ビネガーベース、ノンオイルドレッシング+季節の薬味香味野菜 etc. ご自由です。

□ライトに食べる工夫。
「軽く=和風」な食べ方は、ハンバーグ、カレー、スパゲティでは定番になりました。
特にカレーは、タイ風カレーブームを通って、でんぷん抜きのスープっぽいものや、材料に野菜や果物、魚貝を使うヘルシー派が、普及してきました。おかず中心だった食卓が、穀物の主食をエネルギー源にするという転換をすると、おかずの役目は、体に必要な栄養分を美味しく用意すること。「栄養たっぷりなのに低エネルギー」のおかずづくりが試されているようです。

 

4.体に必要なものを美味しく食べるメニューの広げ方

老眼鏡を楽しむには

1)エネルギー源としての穀物メニューの広げ方
体を目覚めさせ、元気を送るのは穀物。ビタミン、ミネラル、食物繊維たっぷりの穀物を上手に取り入れたい。

2)もっと自由に 野菜メニューの広げ方
野菜=生野菜サラダからの脱皮が第一歩。野菜の食べ方は、アジアに学びたい。

3)食事のバランスを調整するデザート、飲料の取り入れ方
消化を助ける、脂肪を溶かす中国茶。満腹感をつくり出す甘いデザート。

➡蛋白質系は、調理法や食材選びがポイント。穀類と野菜メニューは、世界中の食卓から食べ方のヒントを集めたい。

 

身近な素材から、新しい味を知る楽しみ

世界共通で、身近な素材といえば、穀物と野菜でしょうか。
穀物といえば、「ご飯」。「ご飯をしっかり食べなさい」といわれて育った私たちの年代にとっては、ご飯は普段の白いご飯、生活行事のときは「炊き込みごはん」「混ぜ寿司」「祭寿司」  と、いつも食卓の中心にありました。ご飯メニューは、多種多彩でしたし、最近人気のデパ地下でも、具材いろいろのおこわや炊き込みご飯が並んでいます。
そんな中に、「玄米ご飯」「五穀米おにぎり」を発見するようになりました。気をつけて見ると、お米の売り場にも、玄米、胚芽精米、分づき米、麦、アワやヒエ入りの袋も並んでいます。ワイルドライス、タイ米もあり、お米の食べ方が広がっていることを実感します。野菜も同じ。新顔の野菜たちが、食べ方のメモをさげています。世界中の野菜が集まっているのかと思うほど、豊かな素材に囲まれています。
せっかくですから、新しい味への出会いを求めながら、気持ちいい体も手に入れ
るように、欲張りましょう。

 新しい食べ方で、味とメニュー広げませんか。

□世界中、穀物は食卓の主役です。
朝ごはんといえば、炊きたての白いご飯。その幸せ感、分ります。
けれど、「ご飯の食べ方」にも、意識的な見直しが始まっています。精白米に大麦を1割混ぜて炊くとか、分づき米を利用してみるという食べ方を取り入れようとしています。本来お米が持っている栄養素や成分を捨ててしまった食べ方への反省です。
韓国に旅行して「五穀米のおかゆ」を食べた人は、穀物の味に感激しました。地中海世界では、目下「硬質小麦」が注目を集めているそうです。この硬質小麦は、粗挽きすればパスタにもクスクスにもなり、主食の食べ方を健康へと導いているといいます。「お米も粉も、真っ白よりは自然色の方が、社会的なステイタスを感じます」という意見もありました。

□メニュー名に拘らず、野菜を食べませんか。
東南アジアでは、季節の野菜を適当な大きさに切って、大皿に積み上げてある食卓によく出会います。その野菜の食べ方はお任せ。スープに入れてもいいし、麺類にのせても、葉ものでクルクル巻いてパクリ!でもいいのです。
そばに、ジャコをガーリックと一緒に、オリーブオイルでしゃっきり炒めたのを入れた
タレを置いておけば、野菜もビールのおつまみにもなります。
テーブルの脇に電子レンジがあれば、好みで「チン!」と茹でるのもOKです。
茹でた野菜には、ネギと生姜とニンニクを刻んで、酢としょう油、オイルを合わせた
タレもよく合います。イタリアも、野菜の食べ方の宝庫です。イタリア人は、栽培種で新しい野菜づくりの名人的国民と言われる位、種類は多彩。香りも苦味までも、いろいろ楽しんでいる様子です。硬い野菜はオーブンで焼いてみる、柔らかいものはそのままサラダで食べます。例えば、トレビスをオーブン皿にのせて、オリーブオイルをかけ、パルミジャーノレッジャーノをかけて焼く。野菜の苦味とチーズの甘味とがマッチしています。蒸す、茹でるもいいのですが、時には、焼いてみるのもお勧めします。

□オリーブオイルに注目。
「旨味を引き出す調味料」といわれる油。上手に使いたいものです。揚げ物の頻度は減ったというものの、時には懐かしい豚カツも天ぷらも登場します。
もちろん、1人前の量は控えめですが、最近では、素材や衣に入り込まない油としてオリーブオイルが人気です。オリーブオイルに置き換えたら、コレステロール値や中性脂肪値がさがったという話にもひかれていますが、何よりも、軽く揚がるので胃に負担が少ないと好評です。
また、揚げ物は、塩分がない方が美味しいので、低塩で食べる調理法なのです。

5.医食同源の思想+栄養バランスで、食事を考える。

どんな食べ方?

① 四季のある国に暮らすのだから、 季節を感じる食べ物を体を労る食べ方で食べていきたい。

② 栄養バランスは、食卓に並べる料理がお互いに補い合うことで計ってみる。数字よりも体験を信じて穀類、蛋白源、野菜色々を並べてみたい。

⓷「薬膳」でも、 穀・菜・果・畜の4群が 食の基本。甘・辛・酸・苦・歯咸の五味を取り合わせて食べてみる。

➡ 食事は、体と心を満足させたい。 食前の薬酒、食後の中国茶、甘いデザートは、食事する気持ちをリラックスさせる。 中国茶は、体調を整える効果でも人気上昇中。

栄養バランスは、お皿単位でなく食卓単位で。1食単位ではなく、1日単位で

「体にいい食べ方」を意識したら、食べるものがなくなった気分という人も、そろそろ、「食べるものが悪いわけではなくて、食べ方が無意識すぎた」と考え直していただけたでしょうか。雑食文化といわれる日本の食卓ですが、雑食の分だけ、選択肢が広いわけです。食べ方さえ身につけば、体によくて美味しい食事が、バリエーション豊かに続けられる楽しみもあります。

食べ方の基本は、バランス。いろいろな種類を食べることはもちろんですが、同じ素材でも、昨日と違う食べ方を工夫する、まったく初めての食べ方をしてみるのも、バランスづくりにつながります。バランスの善し悪しは、数字がなくても、目と舌が審判してくれます。いろいろ並べば、1品は少量でも、食べ過ぎる危険はありますが、そこはそれ腹八分を守ってください。

健康的に食べる目安

□おかずが主食は、育ち盛りの食べ方です。
かつて、ご飯を食べない、ご飯よりおかず優先という食事がありました。
成長過程の子供に、「ご飯を残してもいいから、おかずは全部食べなさい」と言って
いたことも思い出します。
けれど、50代を過ぎた体には、調味された蛋白質中心の食事は、負担が大きすぎる
のです。
必要なエネルギーは「主食のご飯で」という理由も、ここにあります。

□野菜は、1日350~400g食べることを目指します。
400gの野菜って、どの位の量でしょうか。
お惣菜の野菜サラダパックを買った経験がある方にはお分かりでしょうが、1人用の
小さいパックは100g入り、やや大きめが200g入りですから、目安にして下さい。
野菜は、生ですとカサがありますが、サラダも茹で野菜にするとか、炒めサラダにす
ると、200gもコンパクトです。
朝の大根おろしも、お味噌汁の実も、肉料理の付け合わせも、野菜です。
その量をちょっと多めにしていくだけでも、気持ちいい体につながるはずです。

□蛋白質は、いい素材を少しずつを心がける。
魚がいい、煮魚が好きと言っても、おしょう油と砂糖、みりんでしっかり煮た料理は
手放しで「ヘルシー!」とは言い切れません。
和食ならすべて健康的だとは言えない例です。
けれど、これも量の問題。もう、きんき1匹自分のものなんていう食べ方は厳禁です。
「蒸す」をお勧めした理由も、ここにあります。
薬味やタレ次第で、同じ素材を和洋中華エスニックと、自由自在な味が楽しめます。

□お飲み物、どうしていますか?
含まれるポリフェノールが、血をサラサラにしてくれると喜ばせてくれたワイン。登場
していますか?
旅行に行くと、旅館の夕食に、食前酒がついてきます。その土地の木の実のお酒だ
ったりして、「食欲増進と消化にもいいようですから」などと勧めてくれます。
家庭でも、夕食のお膳にお酒が登場する習慣は、広まっているのでしょうか。
日本人はお茶大好き。ペットボトルのお茶は年令不問の普及ぶりです。。
それが、最近、中国茶ブーム。ゆっくり香りと共に嗜む作法付きがポイントです。
でも、食後は、中国茶も大きめのマグカップで飲みたいもの。
中国や台湾旅行のお土産に、お茶の葉をいただくことも多くなりました。
中国茶の効用は、薬膳イメージと重なって、食中食後に「熱烈歓迎」の気配です。
食後の甘いデザートは、血糖値を上げて満腹感をつくり出してくれますが、ご夫婦で
半分ずつのお饅頭に中国茶というのも、ほのぼの健康法で、お勧めです。

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