50カラット会議

40号  50代からの暮らしと更年期

2003年10月 発行所 「50カラット会議」

50カラット会議レポート 

40号

50代からの暮らしと更年期

 

人間には、思春期があるように、更年期があります。 けれど、思春期教育は受けるチャンスがあったのに、更年期については体験と風説だけが頼りといった覚束なさ。情報は、切れ切れで、体の一生という視点でのサポートに欠けています。更年期の表れ方は、人それぞれ、千差万別とはいうものの、向かい合い方について、ここだけは外せないというヒントがありそうです。
更年期という乱気流の中を通って、軟着陸したいという願いをこめて、 女性の体に詳しい専門家たちの更年期論をお届けします。
Part1は、ご自分も更年期体験者のお医者様、医学ジャーナリストに体への対処療法だけでなく、更年期を人生観と暮らし方を見直す機会として捉える大切さを語っていただきました。

蛇の道はヘビに聞くシリーズ㊵

更年期だからと何かを諦めないで!

お集まりくださったのは、管理栄養士・竹内冨貴子さん、ホルモン異常がご専門の産婦人科医・松峯寿美さん、長年更年期の取材を続けてきた医療ジャーナリスト・安井禮子さん、循環器がご専門の開業医・山口いづみさん、中医で未病医学研究センター代表・劉影(リュウイン)さんです。
それぞれ、更年期をテーマに著書も多い方々ですが、50カラット会議では、そうした本の基本にあるご自身の体験やお考えを吐露いただきました。
人生にも関わる一大事として取り組んだテーマながら、アハハ、ウフフと笑いも絶えない3時間でありました。

 

目次

1.更年期は、just size生活を探すとき。

2.やり過ごし上手な人になる。

3.じっと耐えるより、予防対策、対症療法を取り入れたい。
今日も「人生の一日」、気持よく過ごしたい

4.お医者様の選び方は、相性のいい美容院探しと同じ。3ヶ所は訪ねて、カンを働かせて、熱心に。

5. 女性を産む体としてきた文化のなごりなのか、 30代以降、体がどう変わるのか学ぶ機会がない!

 

1. 更年期は、just size生活を探すとき。

  更年期の体は、ターニングポイントを 教えてくれる。

●思春期があったように、更年期があるのです。
表れ方もタイミングも千差万別。生活に差し障りがなければ「更年期障害」とは呼ばないけれど、体をいたわる暮らしを心がけたい。

●女性ホルモンの分泌は35歳が最高。
体の中では、35歳から更年期は始まっている。女性の体の変化として、更年期を捉えて学ぶ機会がない。出会ってアタフタ。

●日本人の民族性は、体調をガマンする傾向。
更年期を恥じたり 家族の要としてパーフェクトでいようとして、自分独りで耐えてしまう。大変だぁと騒ぐ人は案外「軟着陸型」。

➡更年期は、どんな乱気流でもいつか抜けます。  体が、「人生の復路も中々楽しいから、そのつもりで 今から準備しなさいよ」って言っている時期なのです

乱気流の中からの「軟着陸」を目指すなら、 少しの健康と少しのお金と少しの遊び心を楽しみませんか。

「ナンバー1でなく、ジャストで暮らす」という発言がありました。管理社会で仕事をする50代の女性が、仕事の重責と更年期の不調とで、傍目
にも残酷な様子を見た人の話には、まわりの意識が変わるのを待つわけにはいかないし、自分の人生観を変える時なのかもという反応です。
仕事のやり方を変える、人との付き合い方を変える、今までと同じ走り方をするのではなく、体が変わったのだから暮らしも変えるという意識の必要を実感したのでした。
人生の復路というのは、これまでの人生経験や知識やカンを働かせれば、見知らぬ道を走る不安もなく、余裕の走りができるのです。そんな走りをイメージしながら、休息の時期と思って更年期を過ごすのがよさそうという提案です。100%バリバリの健康などは望まず、少しの健康があればいい。沢山のお金を稼ごうと思わず、少しの余裕があればいい。
そして、少し遊びませんか。閑あり!を楽しむ気持が「軟着陸」を助けそうです。

  体の知識と暮らしを変える勇気がほしい。

□ 10年ほど前、東京新聞で「更年期」を連載した安井禮子さんは・・・
当時は、更年期という言葉もひっそりと語られていた時代です。 「今はメノポーズを考える会という会もあって、相談窓口も広がりましたけれど、当時は
女性ホルモンが急坂を降りるように減ることさえも教えてもらっていなかったんです。 職場にいる女性たちが、人には言えず不調と関わっていたという状況があって、これは 体だけの問題じゃない。人の生き方に関わることだって思ったのです。 そのことを、先ず女性自身が学ばなくてはと連載を始めました」。 以来、「更年期」は、安井さんのライフワークです。

□ 産婦人科医の松峯寿美さんは、ホルモン異常がご専門です。
「更年期は、絶対にくるものなんです。思春期があった人は、必ず来ます。そして、更年期になれば、更年期に伴う症状は、絶対に出るものなの。疲れやすくなるとか・・・ けれど、更年期障害にならなければいいわけです。 更年期障害というのは、更年期症状がひどくなって、日常生活がままならなくなった状態をいうのです。それは、突然症状がドッと出て、ガクッってくる。そんな更年期障害なしに更年期を乗り越えて、ステキな老年期にはいる。そこへの軟 着陸へのお手伝いが医者の仕事です」。

□ 病気ではないがつらい症状の「未病」として、更年期に取り組む劉影さん。
未病医学研究センターの代表の中医・劉さんは、更年期の受け止め方にも民族性があるとおっしゃいます。 「日本では、更年期をみんな我慢していて、ウツになったりしますね。民族性と文化と生活環境の違いでしょうか。北京の場合なんか、大体高血圧気味になって、ケンカっぱやくなったりね。ウツにはなりません。なんとかなるという、大陸の性格かな・・。 長い日本生活で、私もうつっちゃったけれど、日本人は不安症なんです。そんな風に考えていたら生きていけないという位、いろいろ心配している。地震がきたらどうしようとか、1千万円持っていても老後はどうなるだろうとか。エストロゲンが低下したせいか近頃、私にも不安になるという国民性が身に付いた!」と笑います。
その意見に、松峯さんも、「日本人の文化には問題もありますよね。自分の内面のことを話すのは恥っていう文化もあるし・・。それに、日本には、子供を産めなくなったら、 女じゃないという、子供を産まなきゃいけない文化がありましたからね・・」と応じました。

□ 更年期は、老いの迎え方、人生の処方を考えるチャンスです。
「ターニングポイントと認識するだけで、仕事もお付き合いも、余暇の過ごし方も変わって、ゆとりの素晴らしさに気づくと思う。閑の大切さ、楽しみをつくる訓練期ですね。 50歳からの人生は、自分で選んで決めるということ」と安井禮子さんがおっしゃれば、 劉さんも、「朝から晩まで仕事に恋している私に、父が言いました。ナンバー1はいいことじゃない。ジャストがいいって。できることを精一杯する楽しみで生きろってことね」。 管理栄養士の竹内冨貴子さんも、「週末の生活は東京から離れてという暮らし方を始めたら、仕事の仕方も変わりました」と、近況を語ってくださいました。

 2.やり過ごし上手な人になる。

更年期という言葉に縛られない暮らし上手になりたい。

体に出る症状は、対処療法もあり、効果も出易い。心の落ち込み回復は、お金では買えない・・・

●空の巣症候群と重なり落ち込む更年期がある

閑ができた!と遊びましょう。インテリアに拘るもよし、花を育てるもよし。思い切って水泳、乗馬もキキメありです。

●仕事の重責期と重なり不眠に悩む更年期がある

ストレスで眠れず、神経科を訪ねて「入眠剤」を貰い一日中ボーッとした頭で疲れ果てた話は多い。残酷物語です。

●体の不調を話すのは恥と、自分だけで抱え込む更年期がある

家族や友人に「見て、ひどい汗!」「気力減退!家事分担して」と話すだけでもスッキリ。案ずるより産むが易しです。

 

 気分転換上手、これ元々50代の得意技です。

「更年期離婚」、聞いたことはありませんか?体調は最悪、気力も低下、何もかも打ち捨ててしまいたい、気に入らないという気持が、「別れる!」と叫ぶ結果だそうです。実際に別れてしまった例もありますが、たいていは、友人に愚痴る度に、「もう別れる!」と叫んではスッキリ。その内、「あら、そんな風だった?」なんて他人事の風情です。つまり、こんな風に雑談友人が多い方の場合は、周りは被害甚大でも、本人の落ち込みはそこそこで留まります。
けれど、50代ともなれば、ひとりでも気分転換はお手の物ですよね。 美容院、エステ、アロマオイルのボディマッサージに行くもよし、思い切って部屋
の模様替えに着手するもよしです。散歩用にデザイナーズシューズを買ったという人もいます。とにかく、自分の一番気持いい状態にむけて、時間をつくること。 無心になれそうと、乗馬を始めたという人もいらっしゃいます。何か考えていたら落ちるのですから。 更年期には、遊び心が一番効くようです。

更年期症状とのつきあい方

□ 自分のこと、話しましょう。
精神科医とも日常的な付き合いがあるというアメリカやヨーロッパでは、友人にではなく専門家に心の内をさらけ出してサッパリするというけれど、日本にはその習慣はない人が圧倒的です。 つまり、普段からあれこれ喜怒哀楽を共にできる友人がいるかいないかは、更年期の過ごし方が大分違うということになります。 葛飾区で開業医をしている山口いづみさんは、「お医者にきても、自分のことを説明できない人は多いですよね。じゃ、こうしましょうって言ってあげて、初めてその気になる人が多いんです」。
竹内冨貴子さんも、「更年期になって、コレステロールが上ってきたので、どうしたらいいかっていう相談に見えても、よくなるための話より、悪くなることへの情報ばかりを並べたり、私ってこれからどうなるのでしょうなんて、まるで人生相談・・」だそうです。それほど、誰かと話すという機会がないし、身近な誰かに話してみるには勇気が要るということなのでしょう。
体も気持も落ち込んでから、友達づくりは難しいでしょうから、やっぱり早めに、遊び心と遊びグセは、付けておいたほうがよさそうです。

□ 精神的にケチは、克服しましょう。
週末は田舎暮らしという竹内さんにしても、「以前は、遊びに行っても、残っている仕事を思い出して、やろうかななんて・・」だったと笑います。
劉影さんも、「私、日本人じゃないけれど、ニューカレドニアに旅行に行って、初めの3日間、仕事が抜けなかった。空見ても、海見ても仕事が頭から離れなくて、あ~嫌だ!って思ったけれど、抜けた頃には、もう帰る・・・」。だいたい、女の人のほうが「精神的にケチなのよ」と、松峯さん。
気分転換は得意技といいながら、つい実質的なことに走るといわれると、思い当たる方はいらっしゃるのではないですか?

□ 仕事を辞めるなんて、言わないで!
「パートにしろ、何にしろ、50代から先で、再び仕事を探すなんて難しいですよ。つらい時は休んでも、貴重な仕事を辞めないで!
仕事は、生活の糧というだけでなく、交友交流の糧なのですし、外に出れば、気分転換のチャンスも多いのですから・・」と安井さんです。

□ 「知らぬが仏」も、なかなかいい。
情報社会は、知識を提供するとはいうものの、自分の場合にぴったりというわけにはいかないものです。更年期かしらくらいの不調ならば、「知らぬは仏」ということもあると、劉さんは考えています。
ちょっとのぼせるかな、ちょっと眠れない日があるかなくらいでしたら、眠れない夜は、心ときめく映画を観るほうが、更年期上手なのかも知れません。

3.じっと耐えるより、予防対策、対症療法を取り入れたい。 今日も「人生の一日」、気持よく過ごしたい。

一日を明るくするために、 知恵と勇気でのりきりたい。

医師は、患者から「疲れてる?」と言われるわけにはいかない。ホルモン療法にも「軟着陸」を意識しながら積極的です。

●未病(病気ではないがツライ)なら、イソフラボンが効果的。
女性ホルモンエストロゲンが少なくなった人には、植物エストロゲンと呼ばれるイソフラボンが効果的。大豆製品を食べたり、サプリメントを飲むといい。

●ホルモン剤ではないけれど自律神経のバランスを整えてくれる「終末物質」がある。
山口さんがホルモンバランスが崩れたなと病院で相談して、初めに勧められた薬。1年間はこれで乗り切りました

●ホルモン補充療法HRTもいろいろ。自分に合った使い方を医師と相談して取り入れます。パッチ、飲み薬、注射など方法もいろいろ。補充ホルモンの種類や組合せで、適切な療法を指導していただくこと。

 

更年期も予防する時代です。

ホルモン補充療法には、医者仲間でも「知識がありすぎて、怖い」という声がある そうです。例えば、卵胞ホルモンだけでなく、黄体ホルモンも入れないと、子宮 筋腫が大きくなるとか、黄体ホルモンが乳癌の原因になるのではという影響を危惧しているのです。
けれどこの怖れも、まだハッキリそうだというわけではないので、ホルモン補充を進めながら、年に1回は癌検診を受けるというのが皆さんの方法です。
松峯さんは、ホルモン異常がご専門なので、更年期が終わるときを予測しながら補充するホルモンの種類や量を調整しているそうです。 薬の力を借りながら、「患者さんより疲れた顔してるわけにいきませんから」と、仕事をしています。一方、劉さんは、「私はまだなのですが、あまりに重症の人たちを見てきたので、かえって、もうそろそろだろうかと不安になります」とおっしゃいます。劉さんは、目下大豆イソフラボンのサプリメントで予防中。
管理栄養士の竹内さんは、「納豆やお豆腐をよく食べています。夫より多く食べるようにしていますね」なのだとか。大豆に含まれるイソフラボンは、40代50代の体に女性ホルモンを補充してくれるのです。転ばぬ先の杖として、お勧めです。

 段階的「更年期対策」

□ 劉影さんは、「大豆イソフラボン」続行中。
健康と病気の間に、早く予防する、乱れる前に手を打つという未病医学研究の立場から劉さんは、只今「大豆イソフラボン」のサプリメントを飲んでいます。 「更年期の患者さんをたくさん診る機会の後、漢方薬や日本の食生活の中にある、体にいい食べ物との組み合わせで、更年期の乗り越え方を研究してきました。 沢山の患者さんを見て来たので、自分自身は早く予防しておかなくちゃという気持もあって、アグリコンタイプの大豆イソフラボンを飲んでいます」とのこと。 大豆イソフラボンには、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあるので、老化を先に延ばしたいという気持の人から、更年期にさしかかったかなという人までに人気の食品。 「体脂肪率や中性脂肪、コレステロール、LDLコレステロールをさげているという研究結果もあって、予防対策としては、安全性も含めて、お勧めしています」ということでした。

□ 管理栄養士の竹内冨貴子さんの「大豆食品」評価。
「更年期に効果があるのは、イソフラボンじゃないですか。イソフラボンの量からすると、毎日納豆を60gくらい食べていれば、だいたい足りる。
私も、納豆食べたり、お豆腐食べたり、それを主人より少し多く食べている。 あとは、運動して、体の循環をよくしているってことですかねぇ。
いずれにしても、更年期の不快感を除くのに、何がどう効いているのか分らないし、納豆ばかり食べていたって効かないわけですから、これがいいとなったら、そればっかりという取り入れ方はダメですよ」。

□ ホルモン補充療法といっても、いろいろあります。
ホルモン剤の入門編というか、本当のホルモンではないけれど、効果を発揮するものに「終末ホルモン」があります。 医師の山口いづみさんは、この終末ホルモンで、脈が速くなったり、夜中にビッショリ汗をかくといった症状を切り抜けました。 しかし、その後、効果が薄くなってきたので、卵胞ホルモンと黄体ホルモンのパッチを 2週間ずつ交互に貼っています。
「こうした治療には、脳梗塞、心筋梗塞、癌になりやすいという不安も言われているので、 1年に1回の健診は必要です。けれど、コレステロールは低いし、骨密度もがっちりしていて、全体的に体が若々しく保たれていると思います」と、ニッコリ。 松峯寿美さんは、男女混合ホルモンを勧めています。
「2週間後には、みんな目がキラキラ輝いて、身ぎれいになって来ますよ。更年期の治療には、男性ホルモンが効くのです。半年、3週間に1回続けると、ガラリと変わりますね」。

□ 気力がない、眠れないからと、精神科や神経科には行かないで。
「先ずは、産婦人科医の所へとお勧めします。ウツという診断で入眠剤もらっちゃうと、 昼間もトロントロン状態になって、パワーが出なくなっちゃう」と心配します。 更年期障害は、ホルモン異常が原因なのですから、根本的な状況の見極めをしに行くつもりで、更年期外来へ行くことをお勧めします。

4.お医者様の選び方は、相性のいい美容院探しと同じ。 3ヶ所は訪ねて、カンを働かせて、熱心に。

「なんとなく更年期っぽい」なら、漢方がお勧め。  自分の体がコントロール出来にくいなと感じたら、 まず産婦人科医を訪ねること。

●3人とは話してみること。

体と心が一体になった悩みなのだから、お医者様との相性は、最優先すること。この人なら分ってくれるというカンが働くまで、少なくとも3か所はまわること。

●自分よりやや年上の女医さんで見つかればlucky!

「年なのだから、しようがないでしょ」は、更年期に対する暴言です。女医さんは同姓としての理解もあるはずなので、上手く出会えばラッキーです。

●訪ねるなら、産婦人科。更年期外来があります。

気力がない、眠れないと、 神経科に飛び込むのは、 ちょっと待ってください。日本では気軽にカウンセリングを受ける習慣がないけれど、産婦人科へどうぞ。

そんなに簡単には「my doctor」に当たりません。

アメリカでは、精神科医は人生のパートナーと言われています。
けれど、日本では、精神科医どころか、内科医すらパートナーとしての関係が築けていない人が多いという実情があります。
産婦人科医となると、これまた遠い存在です。更年期というのは、過ぎてみると、あの頃の私って何だったのかしらと振り返るくらい不確かな自分と付きあう時期なので、そんな自分を受け止めてくれるお医者様に巡り合うためには、努力が必要なようです。「美容院と一緒ですよ。この美容師だ!っていうところに落ち着くまで、あちこちハシゴするでしょ。my doctor探しも同じです」とのことでした。同じ体験をした女医さんなら、理解はしてもらえそうだけれど、これがまた「必ずそう」とはいかないようです。
とても大変な思いをした女医さんから、「あなたなんて軽いほう」といなされて、気落ちした人の例もあって、結局は、男女問わず、患者の話をよく聞いて相談にのってくれる医師に出会えるまで探すという基本に落ち着きました。

どんなお医者さまが好きですか?

□ 中年過ぎの女医さんがいいかも知れない・・・
「想像ではなく、体験者ということで、女医さんがいいと思う。患者の状態や心理にも同情があるでしょ」
「例えば、女医さんでなくても、奥さんの更年期に手こずった男の医者とか・・・」
「女の先生が必ず同情的かというと、そうも言えない。立場が近いということが裏目に出て、あなたがやっていることは、全部私が経験済みだからって、たいした事ないって態度に出る。となると、性別というより、キャラクターじゃない?」 「相性、相性よ!」

□ 相性なら、話してみれば分ります。
「お医者さんだといっても、他の人間関係と違うと思わないほうがいいと思います。 常識的に、話してみて、顔を見れば分りますよ。 この人は、どうも話が通じないとか、言葉遣いがなっていないとか。年をとったんだからしょうがないでしょなんていわれたという話も聞いたけれど、そんな人を傷つけるようなことを言う人のところには行く必要ないですよ」
「やっぱり、話し易いとかってありますよね。自分のカンを働かせて、きちんと先生と話してみることが必要です」
「50歳も過ぎれば、そのくらいの経験は積んでいるのだから、それこそ美容院を選ぶ位の慎重さで、医者も選べばいいのです。美容院情報も、友達から聞いたとか、あなたカッコいいわね、どこの美容院?とか、情報集めするじゃないですか」
「この薬がどうのより、医者との相性でしょうね」
「仕事していても、この人と二度と一緒にやりたくないとか思うでしょ。相性が悪いと、結局、いい仕事出来ないんです。それと同じ。いい結果を得たいと望むなら、相性のいいお医者様に出会うまで、何か所も訪ねてみることでしょうね」

□ お医者様とは、体の声を伝えるホットライン・コミュニケーションを。
松峯さんのホルモン療法は、患者さんの体調や心理と徹底的に付合うことで成り立っているようです。 「例えば、人や症状によって、男性ホルモンをやって良くなったら女性ホルモンに変えるんです。そして、2~3か月やったら又男性ホルモンという風に、交替交替。 人によって、男女混合ホルモンと女性ホルモンを交互にする人もいれば、女性、女性、 男性、女性と交互にする人もいます。
そして、段々「エストリール」を飲ませながら、注射の期間を延ばしていく。2週間に1度だったものを、3週間、4週間に1度という風にしていって、具合がよければ「エストリール」 だけで我慢してみてという風にしています。*「エストリール」は治療薬、錠剤の名前です。
更年期の終わりと治療が上手に進行して、軟着陸するのを目的にしています」とのことでした。これも、松峯さんと患者さんとのやり取りがスムーズにいっているからです。 「相性」がよくなければ、こうはいきませんね。 my doctorとの出会いを祈ります。

 

5. 女性を産む体としてきた文化のなごりなのか、30代以降、体がどう変わるのか学ぶ機会がない!

更年期は、人間の体の正常な現象です。

➡「体の一生」を学ぶ機会がなかったので、  向き合う準備ができなかった人は多い。

●何故更年期になるのか40代に入ったら学んでおくべきでした。
なんたって女性ホルモンの最高期は35歳。「医師たちからの体験的自分の体と付合う方法」を更年期読本にしたい。

●予防策はあります。
基本は積極性。 食生活、日々の暮らしに 「よさそう!」「楽しそう!」 と感じたら実行の人になることです。体を動かす暮らしは更年期を軽くする傾向も確かなようです。

●なったら、どうする?
軟着陸の方法は、医師と相談が一番です。産婦人科の更年期外来は頼りになります。 最低3か所は産婦人科を訪ねてみて、相性のいい先生を見つけて下さい。

医師たちは、更年期からの軟着陸上手。

50代の女性医師たちは、患者より疲れた顔をしているわけにはいかないと、ホルモン補充療法にも積極的ですが、更年期症状の表れ方やご自分の体調に合わせて、使用する薬の種類や方法に変化を持たせているということでした。その目的のひとつに、「軟着陸」があります。更年期には、必ず終わりがあるので、その終わりに向けて、治療も上手に終息させる必要があるからです。漫然と高年齢までホルモン補充療法を行うのは、心臓への影響もあるといわれて
いるので、体のチェックは怠らないことです。「自分の体を注意深く観察していくことですね。体の声を聴き、体が自分で立ち直っていく力を感じたら、治療を控えていくという「体との対話」をいつもしてほしい」と、山口いづみさんはおっしゃいました。
けれど、私たちは、自分の体調をお医者様に伝えることもままならない場合が多いので、自分の体に、今何が必要なのか判断はできません。
産婦人科の更年期外来には、「軟着陸」をめざす方法がいろいろ用意されているそうです。トコトン自分の暮らしと体調を説明して、医師から示される選択肢から、ご自分に合う方法を決めて、「更年期上手」になってください。

 

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