50カラット会議

45号 スープで思い出すのは、食卓マナーヘの緊張感。 が、いまはスープが体と心をときほぐす

2004年7月 発行所 「50カラット会議」

50カラット会議レポート 

45号

スープで思い出すのは、食卓マナーヘの緊張感。
が、いまはスープが体と心をときほぐす。

 

スープといえば、レストランでの緊張感と共に思い出すコンソメやポタージュと洋風大好きだった母親のコーンスープ。実は冷蔵庫のお掃除メニューだったかも知れないミネストローネも懐かしい50代です。それが近頃、百貨店やスーパーの棚、通販のカタログにも、フリーズドドライやレトルトのスープ商品がいっぱい。
本格スープの取り方を学んだ人たちは、無駄とも思える多種多祉な材料と所要時間を思い出して、「便利になりましたねえ」と感嘆します。
確かに、スープは、頑張る食卓の露払い的メニューというより、気楽におかずの仲間になりました。けれど、「おかずになったスープ」に、50代の食卓は多くを期待します。体を支え、心をほぐすメニューを、地球と季節への感謝を込めて口にしたいと議論と商品への要望は、いつまでも続きました。

蛇の道はヘビに聞くシリーズ㊺

一杯のスープから幸せを

3代料理研究家という家に育った人や、「洋風料理にかぶれてまして 」という母親に育てられた人たちは、「小さい頃からコーンスープでした」ということでした。けれど、50代の大半は、「スープ」といえば、初めてのコース料理での緊張を思い出します。
「出版界に就職した頃のお料理本では、スープは材料の吟味から始まって、寸胴鍋を覗き込んでの灰汁とりなどにも詳細な注意書きをしたためたものでした 」と振り返る方もありました。作る人も食べる人も、厳かに向き合うべしの時代があったのです。
しかし、それはそれ。最近の注目は、スープの健康感です。体によさそうという素材を、これほど気軽で食べやすくしてしまうメニューも珍しい。
50代の体と気持にぴったりのスープを整理してみました。

 

目次

1. 近頃、スープには健康調整役を頼んでいます

2. いのちと暮らしを輝かせる「スープ」がある!

3.50代からの「体に気持がいいスープ」

4.スープメニューの広がり

5.手づくりなら、冷蔵庫のお掃除ついでの「栄震スープ」。市販品には、こんな時はコレ!「気づかいのスープ」を期待する。

 

1.近頃、スープには健康調整役を頼んでいます。

●スープといえばレストラン。コンソメとポタージュとマナーを気にして飲んだ昔を思い出します。                                                何時間もかけて作られて透明なエキスに尾後坂に向かい合うのはレストランでの楽しみにとってあります。

●家で初めて習ったのは、コーンスープ、ミネストローネでした                                           洋風大好きの母親、料理家の母親は缶詰のコーンと固形スープで簡単な作り方を教えてくれた。ミネストローネは冷蔵庫の野菜のお掃除メニューだったのね。

●学校ではコンソメの本格的な作り方を習いました。家庭できいちんとスープをとるのは、材料を考えただけで無駄だと思う。                                                             鶏ガラスープ・粉末も便利。エキスと塩分をブイヨンキューブに任せて、季節の素材をスープにします。

自分用のスープ

「スープは、飲むのではなく、食べるもの」と聞いたことがあります。
最近では、野菜や豆類の粉末スープも種類が豊富で、コーヒーや牛乳代わりにマグカップで飲む習慣も広がりました。
けれど、50代の体は、自分に必要な栄養成分があることを期待します。
スープといえば、いろいろな野菜を一度にたっぷり摂れるメニューであり、浮き実の香り次第で季節感も味わえる優れもの。
野菜ばかりで心もとないと思えば、残って冷凍してあった魚のすり身や肉団子を落として、主菜のボリュームを加えられる変幻自在なメニューです。日本の食卓では、味噌汁がそうした役割を立派に果たしてきましたが、洋風にといわれれば、そこはお手の物。固形プイヨンを上手に使って、洋風家庭スープを自己流に作ってきました。                                                                      しかし、最近、個々に食事という場面が増えて、「折角なら、とことん自分用」のスープがあれば嬉しいと、スープの効用を探り始めた様子です。気になることは、いくらもあります。生活習慣病の気配、肌力の低下、健診結果の数値にも一喜一憂します。そして、スープにスポットライトが当たりました。

体を労わりつつ、頭を使う食生活に、スープがクローズアップ

□具沢山のスープに惹かれるには、それなりの理由があります。                                                                      「コーンスープがスープ体験の一歩だったので、コーンスープは不滅ですが、近頃では野菜をたっぷり入れてコトコト作ったスープが多いですねぇ。体に安心なのね。食卓を眺めて、何か足りないと思っても、具沢山のスープがあると、悪くないかなって納得している自分に気づきます。
サラダに比べると、ドレッシングやマヨネーズをワッとかけて食べる野菜ではなくて、美味しいエキスを食べるので、健康的ですし、量も食べられますから」と、料理研究家の堀江ひろ子さん。「何しろ、1つのお鍋の中で解決できるメニューですからね。いろいろ道具を汚したりしないし、切るだけでいい。キャベツなら手でちぎってもいいんですからね。
調理の技術力もあまり要らない。どんなにお料理苦手な人でも、こうやれば出来ますというのがスープです。具を沢山入れれば、あえてスープストックやダシをとらなくても、それなりに美味しくなりますから」と、管理栄養士の竹内冨貴子さんも、具沢山スープ礼賛です。
竹内さんは、最近は豆乳ベースにしたり、大豆をミキサーにかけて加えたり、食物繊維たっぷりの根菜を入れて、体を労わる効果アップに注目しています。

□まだ50代には他人事かも知れませんが                                                                 「酢豚スープ」の話を聞いてください。
ある老夫婦、奥さまが脳梗塞で、燕下食になってしまいました。どろどろした介護食には、メニューの楽しみもなく、食卓で向かい合うご主人は、自分だけおかずを並べて食べることに、落ち着かない気持を感じていました。
そしてある日、「!」。 デパートの地下のお惣菜売場で、酢豚を2人前買ったのです。ご存知のように、酢豚には、肉も野菜もいろいろ入っています。
ご主人は、1人前は、そのままお皿に。もう1人前は、ミキサーにかけてスープにして奥さまのスープ皿に注ぎました。奥さまは、目の前でご主人が食べている酢豚を見ながら、ご自分のスープを口に運んで喜ばれたそうです。
ご家庭では、それぞれ冷蔵庫の掃除風に、何でも入れてしまうスープを作りますし、それに「栄養スープ」と名づけているという人もありますが、スープになったメニューなんて面白いなぁと思いました。

□胃を動かさないで消化器官を最小限につかう、最高のバランス食です。                                                   まだまだ激務生活を続けている人から、「胃と神経を使わずに、コンスタントにエネルギーなりビタミンなりを供給できるものって、ゼリー飲料くらいしかない!」という声があがりました。
オーストリアの国家体制に取り組みながら、16人の子供を出産したマリア テレジアがお茶のように飲んでいたスープがあるという話を思い出して、激務に耐えるスープもできるのでは..という期待です。もうそんな働き方する人なんて、いないわよという声を尻目に、彼女には切実です。

2.いのちと暮らしを輝かせる「スープ」がある!

50代にとっては、「倉ぺなとは禽につながる」「食べることは明日につながる」という健康観が魅力です

●更年期、生活習慣病の気配を予防抑制したい。
高血圧、血糖値、中性脂肪肥満、コレステロール、便秘不眠、ガンが気になるetc
野菜たっぷり摂りたい、穀類にも目を向けたい、海草などの必要成分をスープで。

●免疫力を高め、代謝のよい体でいたい。

血の巡りをよくし、胃液の分泌力も高めたい。肌ツヤツヤ、皮膚イキイキ。風邪をひかない、疲労しにくく回復し易い体になるスープがあるはず

●気持をゆったり持って、ストレスから解放されたい。
気持をゆったり持って、ストレスから解放されたい。スープは、飲んだ瞬間にほっとするメニュー。旨味を追求しすぎる傾向に、グルタミン酸疲れした 50代は、自然天然の味に癒されたい。

究極のスープ

努力なしには体力低下を止めることが出来ない年齢になって、食べるものにも
頭を使うようになりました。
辰巳芳子さんの著書『あなたのために/いのちをささえるスープ』や、関田淳子さん著『ハプスプルグ家の食卓』で紹介されているマリア テレジアの激務を支えたスープには、これぞ究極?と話が弾みました。前者のスープは、旬を味わう、命を慈しみ養うという家庭料理の姿勢で紹介さ
れていて、暮らしへの丁寧な向かい方と共に、納得させられます。
後者のスープは、マリーアントワネットの母でもあったマリア テレジアが、オーストリアの国家改造に取り組む一方、30年間の結婚生活の間に16人の子供を生み、63歳で亡くなるまでの激務をこなした生涯を支えたといわれています。「いまどき、そんな激務に耐えている人なんかいないわよ!」と笑いながらも、ー同、スープはそこまで出来るのか!と、究極を覗いた気持になりました。考えてみれば、スープは、エネルギーのもとも、神経的なバランスを保つ栄養成分も、肌や髪に艶やかさをつくりだす力を秘めたあれこれも、1つの鍋に放り込んでのエキスメニュー。
気分や季節感で選びたい現代人は、そこはそれ、色や歯応えを残した素材や見た目も嬉しい浮き実を加えて、生命も暮らしも輝かせるのが望みです。

成分の効用あれこれ。

□体をしっかりつくるスープ
ストレスがそのまま体に出る、疲れが抜けにくくなる実感から、日頃の食生活で下り坂にプレーキをかけなくちゃという気持が強い50代。
「まだまだ元気よ。弱っちゃいない」のも事実だけれど、やっばり体は放っとけません。胃腸に負担をかけない、胃液の分泌を促したい、快食したら快便も果たしたい、ホルモンのせいとばかりとはいえない肥満傾向も気になるし、体重と一緒に確かめられる体脂肪値も見れば忘れられず、血液ドロドロという言葉にドキッとする日々です。
こうした危惧には、ー朝ータの効果を期待してはいけないことも承知です。「美味しいものも選んで食べる」、この選択の賢さが、明日のわが身を健康に導くのだとも分っています。スープは、こうした体への危惧に、サラリと応えてくれるような気軽な期待があります。
薬じゃないのですから、エキスの効能一点張りである必要はないのですが、「気になるあれを、こんなにいいスープにしました」と言われれば、歓迎です。
素材で気になっているのは、やっぱり野菜が筆頭。青い野菜、赤い野菜、根菜類に加えて、豆類、芋類、穀類も、上手に選びたい対象です。
体調を整える、肌を艶やかに保つ素材は、どんなスープになるのでしょうか。

□即効スープ
「30代40代並みの体力、持久力が必要な仕事の仕方することがあります」という人は飲みながら回復していくスープを望んでいます。
また、「一夜にしてお肌ツルツルになったのは、韓国での牛筋スープ。首の筋肉痛が一夜にして直ったのは、香港での蛇スープ」という体験談は、一同をうならせました。蛇の効果は、血流をよくし滋養強壮。海亀は、コラーゲンによる肌の保湿カアップが知られています。それに、スッポンは、「スッポンを煮たお鍋を使うだけで効果がある」のだとか。なにやら、妖気ただよう話になりました。
けれど、風邪には玉子酒というように、こんな時はコレというスープは、健康管理の味方です。疲労や風邪からの回復を助けるスープ、パックにも勝る美肌回復スープは魅力的。高麗人参をはじめとする漢方薬膳の力、ハーブなどの香辛料力も借りて、現代女性の新しい体管理スープはできないかと期待が高まりました。

□具材スープ&エキス スープ
体をしつかりつくるスープは、具材入り、即効タイプは、コンソメ風のエキススープにイメージが重なりました。
緑黄野菜200gといわれれば、それだけでビタミン効果が伝わりますし、根菜スープなら食物繊維効果で安心します。
但し、50代は、スープにも「野菜ジュースのサラリ感」を望む人が多くて、濃厚なクリーム状には、「時々は飲みたいが 」という嗜好です。
具材スープは、トマトジュース、チキンスープ、魚スープ、豆乳等をベースに、気になるあの素材をたっぷり食べられる安心感づくりがテーマです。

3.50代からの「体に気持がいいスープ」。

生活習慣病の予防抑制、美肌、肥満対策ならこのスープといわれると、サプリメントでとるより自然だと思う

●野菜をいろいろたっぷり美味しく食べられるスーブ
野菜ほどバラエティに富んだ食材も少ないと思うのに 1日350g取るメニューに四苦八苦。種類も量も一度にたっぷり摂れるスープは、季節、色、味、食感も思いのままのはず。

●魚貝類、しいたけ貝柱等のエキスに含まれる成分の食効を期待するスープ
けもの臭はもう要らないという気分に合うし、家庭では料理しにくくなった素材の栄養素や成分を摂る方法として好ましい。

●自然天然の素材を、旬の栄養価で食べるスープ
天然水、自然塩は勿論、海草はキレイな海、野菜は元気な士で有機栽培されたものを使って「微量栄養素」が補えるスープが飲みたい。

体力・体調に「気を使ったスープ」

目覚めの朝食、お弁当やサンドイッチを楽しむランチ、温まっていく体を感じながら寛ぐ夕食、アウトドアでの食事etc.
体に滋味を注ぎこむスープの出番は、いっぱいあります。
簡単にお茶やコーヒーで済ませていたけれど、美味しいスープがあれば、どんなにか体と心がホッとすることでしょうか。
それもスープの種類次第で、自分の体カ 体調にいいことをしていることになるなんて、嬉しい限りです。朝は「豆乳ベースのスープ」、サンドイッチやお弁当で済ますランチには「飲む野菜サラダ」、そしてその日のしめくくりには「体の芯から安らぐと共に、美肌を気づかうコラーゲンたっぷりスープ」とか「新陳代謝のいい体をとりもどす成分たっぷりのスープ」、アウトドアライフなら「滋養たっぷりのパワースープも」と、イメージは広がりました。
治療回復が必要な体には、相応の処方スープが用意されなければなりませんが、日常を健やかに続けたい50代の食卓には、体に悪いものは避けたい気持の延長上に、「私たちの体カ 体調に気をつかったスープ」への期待が、大きくなってきたようです。

心からホッとできるスープを飲みたい。

□気持をホッとさせるスープ
栄養学的には、こういうものを摂ればというのはあると思いますが、スープを1回飲んで治るっていうわけはないでしょ。薬じゃないんだからね。
ですから、毎日飲んでも飽きないものにするか、みんなが体にいいらしいと思っている素材で作ってあることが基本でしょうね。
それを飲むとホッとして、胃液が出てきて体調がよくなった気がすることはあるでしょう。血圧を安定させることは出きるかもしれない。気持が体に影響することはありますから、ホッとするスープは、それなり価値があります」と竹内冨貴子さんです。
ちなみに、朝は、ヨーグルトとチーズトースト。バターを付けるのはご主人だけ。けれど、ハーフカロリーのものにして、内助の功です。
ヨーグルトは500gパック、牛乳は、1ℓが、二人で2日の消費量です。

□「塩分」は控えめに。
そんな「ホッとスープ」も、塩分を控えておかないと、スープを飲みましょうとお勧めできないとのことでした。
「具沢山にすれば減塩できるとは限りません。野菜が入っていても、それがスープに なって、全体が150gになったら、それ自体に0. 7とか0. 8%の塩分をつけないと美味しくない。美味しいスープをたっぷりどうぞとは勧められないですよね」とは、管理栄養士の言葉です。
もっとも、スープだけの塩分で判断するのではなくて、おかずの1つとして考えれば、献立全体の塩分量で調整することはできます。

□スープづくりはメニュー開発だけではない。野菜を育てる土壌を守ることも課題です。                                          「野菜を食べているのだけれど、実は野菜がはえている土を食べているという意識が大切だと思う」と、企業に対して、土壌を守っていくことでの大切さを認識してほしいという意見がありました。「野菜のもとである士が弱いから、堆肥だの肥料をいっぱい入れているし、結果的に、
堆肥食べているってことになっている。
その堆肥の元は、アメリカの牧草だったり、牛のウンチだったりするわけだけれど、何かそういう構造が気持悪くなっちゃっていて、今注目しているのは、無肥料野菜です。 肥料を一切やらない、土壌にある100%の成分で作るのだから、人参なら人参の本来の味がするんです」「実際、同じ人参でも、火山地帯のミネラルが多い土地のものは栄養成分上ナトリウムがものすごく上る。温度帯によっても、Bカロチンが生成され易かったりと、土地土壌の特性は、そのまま野菜に出ますね」ぽ壌が違えば味が違うということを、自然を味わうという観点から大切にしたい」
「時代的には、この土地のこの味、この産物をお届けしますということが注目されていますよね。あなたのこの商品は、この土地の豊かさを買っていただくことですという売り方ができるといいですね」
大分以前のことですが、日本の食糧事情安定にむけて、効率よく収穫できる野菜の品種普及に人生を捧げた人のお話を伺ったことがあります。時代の要求の変化に、感慨深いものがあります。

4.スープ メニューの広がり

「うまみを追求しすぎる時代」から「素材の件構成を楽しむ時代へ」

●ダシを楽しむスープ群

エキスのスープ。魚の骨でとる、貝の旨味、エビカニでとる、沢山の野菜でとるチキンや牛骨 豚骨でとるetc.ダシの素材の良し悪しは、冷めた時に分ります。50代は獣臭に敏感。水や塩は天然自然、酒や調味料はアミノ酸バランスのよいものを選びたい。

●ミキサーにかけてミックスを楽しむスープ群                                                                クリーム状のスープ。あまりドロドロだと、淡白好みの50代には重すぎる。何種類の野菜がこんな効果で 一体化した!というバリエーションが展開できそう。香りのクルトンも出番です。

●具材を楽しむスープ群                                                                        それぞれの素材の特性と、組み合わせる美味しさ効果で選ぶスープ。旬、生産地、味の特性がグレードを決めます。 四季、風士性を五感で受け止めたいスープです。野菜が主役に異論なし。グルタミン酸ソーダに疲れた舌と胃袋に、天然の旨味を届けて欲しい。

これでもかと強い旨味には閉口です

「近頃、旨味に鈍感になっているのでは 」という発言がありました。
テレビでのラーメン特集は、これでもかの旨味押し込めスープを競っていて、グルタミン酸ソーダの味に慣れた舌には、素材の味だけでは物足りなくなってしまったのかと不安になったという人もいます。
旨味を追求するあまり、素材の美味しさが隠れてしまうのは本末転倒。「何を食べても、結局同じ味で、飽きてしまう」お惣菜商品体験を思い起こすと、スープの旨味づくりには、強烈よりは素直さを求めたいという意見です。調味料にしても、昔の天然ものは、アミノ酸のバランスがよかったので、素材の旨味
をひきだしたばかりか匂い消しにもなっていました。
「天然のていねいに作られたお酒、味蔀、醤油は、料理の味の仕上がりがちがう」のは、食品に携わる専門家なら、誰でも実感しています。『蔵の素』Jという料理酒はエライ!などと、しばし騒然と体験談が続きました。

こんなスープが欲しい。

□1つのスープに、何でもかんでも入れない。
「例えば、緑のスープ。ほうれん草もアスパラもブロッコリーもと、何でもかんでも入れないほうがいい。似ているものをあまり入れても意味がないでしょ。」「季節のもの、旬のものを使うと、自然に組合わせる野菜も絞られてくるはず。
ほうれん草をベースにして作り、夏は空豆とか枝豆とかを組合わせることにすれば、夏のバージョンなのねと分り易くなる。何が入ってるのと考え込ませちゃだめですね」 やたら種類が多いと、味の特徴も出しにくくなるのではという意見でした。

□家で作りにくいのは、野菜なら「根菜類J「豆類」のスープ
菜もの葉ものは火の通りも早いし簡単だけれど、根菜類豆類は面倒感が先立ちます。
れんこんのスープ、里芋のスープは、美味しさは分っていても、中々実現しないので、商品化されたら嬉しいメニューです。
なまじの野菜スープでは、「野菜ジュースで十分」という声もあって、期待するのは、今までにないスープ。素材としては親しいのに、スープにしたら秘めた個性が花開いたとでも言いたい発見があるメニューを作りたいと、料理研究家たちは目を輝かせました

□現代人は旨味中毒じゃない?
テレビ番組は、化学調味料に頼らないラーメン店を紹介したりで、旨味づくりに注目が集まっている時代です。
「でも!豚骨使って、イワシだのなんのと色々な材料を入れてWスープを作って、これでもかって感じ。濃厚なスープを自慢してますよね。
天然の自分の味を作ろうとしているのは、それはそれで素晴らしいことだと思うけれど、そんなに旨くする必要があるのかなって思わずにいられない。
結局、ものすごく濃厚な味を求めれば、やればやるほどコストは上る。
その味に慣れちゃったとき、じゃあその味が5円で出来ますよとかのエキスができたら濃厚な味になれた舌市場にむけて、エキスものが広がるでしょう。
私たちは、本来そんなに旨いエキスだけを抽出したような味が食べたいわけじゃないと思うのですけど

□アミノ酸バランスのいい天然自然の調味料を使ったスープを。                                                                    「外食が続くと、塩味だけのお吸い物に、なんて美味しいのかしらって驚いたりする。胃袋が、グルタミン酸疲れしているのね」という感想もありました。
昔、お魚の匂い消しにお酒を振りかけたのは、アミノ酸のバランスを整えるため。
天然の調味料は、形が崩れた素材の中に入ると、元の美しい形に戻す作用があります。日本のお醤油をたらすと、世界中のどんな料理も美味しく変身してしまうという話がある のも、お醤油にアミノ酸のバランスを整えてしまう力があるからです。ところで、最近では、「塩」の旨さに目覚めた人の話をよく聞きます。スープに塩は不可欠な調味料。どんな天然塩を選択したかは、そのままスープの価値でもあると確認しました。

5. 手づくりなら、冷蔵庫のお掃除ついでの「栄養スープ」。
市販品には、こんな時はコレ!「気づかいのスープ」を期待する。

50代からの食卓は、簡便が付加価値の美味しいスープを歓迎したい

コーヒーのように溶ける顆粒や粉末スープでも、お湯を注ぐとほぐれていくフリーズドドライでもいい。但し、ルックスや香りにも、気配りをよろしく。

●時には、思い切り気取ってレストランのスープもいい。日本料理なら、お椀は季節の吸口と共に、ダシの旨さに感動する。
フレンチなら究極のコンソメ。何度も漉した滑らかクリームスープにうっとりする。マリア テレジアの激務スープも試してみたい。

●家庭の「栄養スープ」は、固形ブイヨン使うのが基本。塩分代わりにもなって便利。
ありあわせの野菜、冷凍の肉団子やすり身団子、缶詰の豆類、水煮魚、はたまた納豆まで加えて「栄養大集合!」。
バナナも入れちゃったの声にジュースとの境目は?

● 食卓や体に感じる欠落感をその時に応じて埋めてくれる簡便スープがあるといい                                              「野菜メニューが足りない」「あっさりメニューを足したい」温まるメニューがほしい
便秘気味」「肌力不足」「胃腸が弱った」「肥満気味」「健診値が気になる」「血液サラサラにしておきたい」「パワーをつけたい」

フリーズドライ・スープ

百貨店、スーパーの棚には、一人用1回分パックのフリーズドドライ スープが沢山並んでいます。値段は、120円~150円が一番多いようですが、中には
「ふかひれスープ」250円というのもあって、具材の種類も多様で、ぴっくり。 和風だと、お味噌汁、澄まし汁、豚汁、粕汁。中華風は、鶏がらベースに海の幸スープもあれば、キムチスープ、ふかひれスープもあるという具合です。
洋風は、コーンスープといったところですが、粉末スープであれこれメニュー展開されているからでしょうか。
けれど、私たちが求める健康感やここまでよく気が付いたわぁ!という感激には間があります。
お湯を注いだ時に広がる浮き実や香りに、あららと驚いてみたい気もしています。
クルトンは、もともと溶かしたバターの上澄みで揚げるものだとか。そこまでの贅沢は求めないにしても、美味しくて驚きがあるアクセントは欲しいですね

「フリーズドドライである便利さ」が役立つ上質を追求したい。

□面倒くさがり屋対象だと、質が下がるのは何故?                                                             「手間をかけられないという人を対象にするとなると、どんどん質が悪くなっちゃうのか一般的な傾向でしょ。でも、積極的に自分の健康や食生活に投資していきたい人も みんな手づくり出来るわけじゃない。質の高いものを作って、質の高いものを選んでいく人に喜んでもらう市場を育てる時代になったと思う。便利だし、それを食べることで喜びが生まれるという商品開発を進めてほしいですね」という意見が共感を集めました。

□香りも味のうち。                                                                             日本の汁物には、「吸口」といわれる季節の香りが欠かせません。春は木の芽、夏は生姜、冬は柚子 お湯を注いだときに、香が鼻をくすぐります。洋風ですと、肉の臭みを感じないようにハープが上手に使われています。コンソメに かすかな酸味と爽やかさを添えるレモングラス、コトコト煮込んだ野菜スープは塩を加えただけでも十分美味しいけれど、仕上げにローズマリーで香りをつけたオリープオイルを落とすと、思わず手がとまる気持よさだと、堀江ひろ子さんはおっしゃいます。
タイムもよく使われますが、いずれにしても、「あら、タイム!]とあからさまなより、アレ?と香りに気づく程度がよさそうです。

□こしょうの力。                                                                            こんな体験をした方がいらっしゃいます。
「ヨーロッパでのことですが、リコッタチーズにそばの蜂蜜をかけたのよ。そばの蜂蜜は本当に初めての人には堆肥の匂いなの。リコッタチーズにそばの蜂蜜?オーッ!っていう感じのとき、白こしょうをパッとかけたんです。
そしたら、匂いが消えちゃった。何かそういう獣臭というか堆肥臭というか、アミノ酸過多な匂いには胡椒が効くんだと思いました」。

□浮き実は、見た目と菌ざわりの楽しみ。                                                                  別にクルトンに拘りませんが、お湯を注いだら思いもかけないものがホッと浮き出てきたら楽しいことでしょう。
「ポタージュ系だと、浮き実には頭を絞りたいですよ。フライドオニオン、ローストしたスライスアーモンドもいいけれど、素材はこれですよというサインになるようなものもいい」「カット野菜で浮き実シリーズの開発してもいいんじゃない?お芋のジュリアンヌ(せん切り)、マセドニアン(さいころ)、プランタニエール(色紙切り)な一んてね」。

□スープベース、スープストックのフリーズドドライにも期待がある。                                                     貝、魚の骨、野菜、コラーゲンたっぷりの牛筋、スッポン、海がめ、ふかひれなどから取ったスープベースは便利そう。1回300 ccくらいは欲しいでしょうか。「例のマリアテレジアのスープは、水溶性の栄養しか取れないけれど、そんなしっかりスープに、炒めた野菜やご飯なんか入れて食べたいな」という願望が叶いそうです。

 

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