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78号 リーガルコーディネーターに聞きました

2010年10月 発行所 「50カラット会議」

50カラット会議レポート 

78号

リーガルコーディネーターに聞きました

 

「トラブルになる前に知っておきたい50代からの相続や結婚の法律」

麻田恭子さん(あさだきょうこ)さん

くプロフィール>
病院の衛生検査技師、スキーインストラクター、旅行会社で海外を飛び回ったのち、「法律を学ぽう」と40歳を目前に大学法学部に入り直し大学院まで進んだ。弁護士と依頼人の間に立ち両者の調整をするリーガルコーディネーターとして、赤坂溜池法律事務所に勤務。弁護士との協働をめざし、現在に至る。
著書に「リーガルコーディネーター仕事と理念」(信山社)他。写真で手にしている1ま、最近執筆した「トラブル依頼人」(風塵社)。

弁護士嫌いがリーガルコーディネーターになるまで

もう何年も前になりますが、自分自身に困りごとがあって弁護士に相談したことがあったんです。そのとき、なんて弁護士はぺてん師なんだ!と思ったことがあって以来、弁護士イコール悪い人だと思って生きてきたんですね。
その後、法律を学んでみたいと思って大学に入り直したんです。
私が指導教授に、弁護土はぺてん師だと思っていた、と話をしたら、「あなたは素人と専門家である弁護士の中間に空つような仕事をして、素人に誤解を生じさせないようにしたらよい何を依頼したいのかを弁護士にちゃんと伝え、弁護士がどうしようとしているのかを依頼者に伝える。そういう役割を果たしてみたらどうか」といわれました。                                                                        法律を学んだ結果、“リーガルコーディネーター’’を選んだのには、私の年齢的な理由もありました。
39歳で法学部に入ったから、卒業して43歳でしょうそれから司法試験を受けても、弁護士としてバリバリ仕事ができるようになるのは50代だ、と思ったのね。それでは活躍できる場は少ないし…。それに弁護士はたくさんいるじゃないですか。たくさんいる弁護士じゃなくて、弁護士のやっている仕事を理解させてあげるような、依頼者が弁護土を信頼できるようになる立場の人、「リーガルコーディネーター」が今はいないなと思いました。
みんなの不満というのが「裁判というのは、高い・遅い・分かりづらい」ということ。高いというのは、弁護土の費用のことだと思うので、私にはどうしようもできない。時間がかかるというのは、裁判所のやっているこどなのでそれもどうしようもない。でも、分かりづらいというのば、もしかしたら私の力で何かできるかもしれない。歳がいっているぶん、説得力もあるだろうしね。だから、私がやるにはそんな仕事がふさわしいんじゃないかと思ったのです。                                          それで、そういう仕事をやらせてくれるところはないか、と探したわけです。
私の大学院時代の指導教授がリーガルコーディネーターの職に興味があったのと、勤務しようと思った事務所の弁護士さんが長いキャリアを持って自分自身も全体的な解決をしなければいけないんじゃないかな、と悩んでいたときだったので、たまたまタイミングがあって、私はリーガルコーディネーターの仕事を始めることができたんです。

コーディネーターの役割は、日常感覚で生きる依頼者と法の条文で戦う弁護士の間のギャップを埋めること。

私は民事訴訟法のなかでも裁判学を学んできました。裁判をたくさん傍聴して、依頼者に話を聞いたり、弁護士に話を聞いたりしていて分かったのは、依頼者は弁護上が法律にのっとって整理した法律上の争点ではない、まったく別のところですごく悩んでいたりするということでした。                                                            例えば、離婚の裁判で、弁護士は民法何条に書いてある条文があるからこうなるんだ、と主張するのですが、当事者はそういうことで悩んでいるんじゃない。 名字が変わらないと子供が学校の関係で困るとか、人に何かいわれていてそれが嫌だとか、先々の財産分与のことよりも日々暮らしていくお金が欲しいから少しでも夫からもらえないか、とか。弁護上が問題としている争点とはまったく違うところで悩んでいることがよくある。                           建築紛争の事件を1年半くらい追っていたことがあるのですが、建築紛争だというからー級建築士が出てきて鑑定したりしたのだけれど、結局は建築紛争でも何でもなかった。
鉄筋家屋のお隣りが解体して建て直しをしたときに、全然あいさつに来なかったらしい。「うるさいかもしれませんが、よろしくお願いします」とね。
それで工事が始まって半年。「あまりに工事がうるさい。普通だったらあいさつにくるのが当然だろう」と怒りがだんだん大きくふくらんでいったわけ。
怒りで、なんとか隣りの人をやっつけたいんだけれど、どういう風にいってやっつけていいかわからない。
それで訴えたのね。弁護士はすぐに建築上を呼んで鑑定して、家がゆがんだとか工事でこんなに被害があった、と争点は建物のことだけになっていったんです。争いごとの発端と、裁判の争点にズレが生まれた。
そこで私が原告である訴えた人にじっくり話を聴いたところ、「いやあ、自分はくやしくてくやしくて、知り合いから弁護士さんに相談したらとアドバイスを受けたから相談したら、こんなことになっちゃった。
たしかに工事のせいで襖が開かなくなった、とはいったけど。ふつう日本人だったら工事が始まるときに菓子折りでも持ってあいさつにくるでしょう。それなのにあいさつが何もなかっに私はそれが許せないって、弁護士さんにもそういったんですよ。だけど、なんだか知らないうちにこんなになっちゃって」。結局、わずかな賠償金をもらうことで裁判は終わったんだけど、そのことによって隣人同土の関係がすごく悪くなってしまった。
両方の家とも、ある意味で被害をこうむったわけです。その裁判を1年半みていて思ったのは、最初にこの依頼者からの相談を受けた弁護士がもっと時間をかけて事情を聞いてあげて、「それは大変だったね、あいさつにもこなかったの?隣りにあいさつに来るべきじゃないか、といってあげようか」などと違う観点から対応すれば、あんなにどろどろにならなかったはずだ、ということでした。
それは当事者の人もそう思っていたはずですよね。非常に不満を持ったまま、わずかな賠償金をもらって勝訴したわけですが、終わり方としては双方ともにハッピーな解決とはならなかった。
本当は、それからもずっと長く隣り同士として暮らしていくのだから、隣りとはいい関係を保っていけるように解決してあげたほうがいいじゃないですか。弁護上も、ただ法律で戦うだけじゃなくて、お隣りとの人間関係も考えて解決してあげないと、全体的な解決にならないのです。                               弁護土は条文で勝つことしか考えないから、裁判にもって行く前に当事者が少しでも納得できるようにいろいろな手を尽くす。こういう努力をしてみましょうか、こうやったら少しは気がすみますか、といったケアが必要なんじゃないかな3。ウンセリングをしながら全体的な解決をめざすリーガルコーディネーターというのは、ある意味で弁護上と対峙する部分もあると思います。
確かに、私が依頼者と話している段階で法律論になる前に依頼者の悩みが昇華されてしまい弁護士の仕事がなくなってしまう、ということはありますね。でも、リーガルコーディネーターは必要だと思うのです。

50、60代女性の裁判は「相続」と「離婚」が多い。

50、60代で一番多い争点は相続かしらね。それから離婚。
昔は相続だったら、家を継ぐという感覚がみんなにあって、お墓を守る、家を継ぐ人が財産をもらって当然なんだとみんなが思っていたけど、いまはそうじゃない。私たち50代でも、かなりそういう考えが変わってきた年代で、長男だからたくさんもらえるということはない、子供はみんな平等なはず、という考えになってきている。その一方で、長男は昔と変わらない考えを持っている。自分は家を継いでお墓を守っていくのだからこの家をもらって当然だ、とね。平等意識が他の兄弟姉妹との争いになります。例えば、ふたり兄弟の場合、親がなくなったら財産の半分は自分がもらえるはずという主張を持っている女性がすごく増えてきました。昔は、兄が継いでくれているから私は少しでいいわ、という方も多かったんです。私が仕事を始めた15年間で、そのへんがずいぶん変わってきています。
最近は、「絶対に私は何分の1はもらいたい」と主張する。これに介護がからんでくるともっと大変です。誰それは何年間か後見人をやってすごく大変だった、とか言い出す。
そういう時こそ、なるべく裁判にはしないで納めていくようにしています。
裁判にしたらほんとうに長くかかるし、家族関係がぐちゃぐちゃになってしまう。兄弟で裁判にしたら、関係が修復できなくなってしまう。
私たちが入ることで、裁判をしないですむ場合もあります。「お父様やお母様は争うことを望んでらっしゃらなかったと思いますよ」という話から始めてね。
つい最近、3人姉妹のひとりから相談を受けたんです。かなり資産家のおうちだったから、お父さまが亡くなって相続の問題がでてきたんです。
そこで、姉妹3人に集まっていただいて、「何がほしい、何はいらないとうことをおっしゃっていただいて、私どもでだいたい相続財産が同じ金額になるようにしていきたい」と、みんなから話を聞きましたこ。                                                           すごいのね、3人がそれぞれの悪口をいって。私が一番面倒をみて大変だったという。それを「大変でしたね」と丁寧にみんなの気持ちを聞きながらやっていくと、うまくいくこともある。でも、もちろんだめなこともありますが、あの3姉妹はうまくやっていけるでしょう。
争うなら、まず調停をやらなければいけないしうまくいかなければ裁判になる。それをやっていたら、関係はぐちゃぐちゃになっていたと思う。
私たちは公平な立場なんですということをいって、みんなから平等に話を聞いていくのがポイントかしらね。当人たちが、自分で話ながら整理がついていく、ということもありますねっさっきおっしゃったこととここが矛盾していませんか、というと「そうね」と気がつくこともあります。

法律の裁定と気持ちのあいだ。

相続だとか離婚だとかで争うのは、気持ちの部分がすごく大きいと思います。
弁護士にしてみれば、遺言書がなければ法定相続分だから3分の1ずつになるわけですが、「それじゃ気がすまない!」とすんなりいかないことが多い。
私は弁護土ではないから、法律的なアドバイスはしてはいけない。弁護土がやるような仕事は、リーガルコーディネーターがしてはいけないんです。
でも、「介護が大変だったんですよ」という話を聞くのは、私たちがしてもいい仕事なの。聞きとった話を整理して、弁護士に「次女の方がこういう風に大変だったみたいですよ」と伝えることは仕事の範囲。
依頼人の話を弁護土がいつも聞くということはありませんし、依頼者が女性の場合、女性にしか話したくないということもあるから。
50、60代の離婚は、懲らしめてやりたいというよりもお金が欲しいという気持ちが強いですね。女の人の決意が固い。考えて考えて弁護士のところにくるから、離婚したい気持ちは揺るがないJ。7割は奥さんから「離婚したい」という場合ですね。そういう場合は、説得してもほとんど修復できないようです。
夫の年金はいくらと計算してあって、「婚姻年数は何年だから自分はいくらとれるはず。それをとってほしい」と。
でもね、男の人の方がかわいそうな場合もある。奥さんが全部管理していて、離婚を切り出されたときに夫は自分にどれだけのお金があるか分かっていない。奥さんが全部夫の通帳を管理していて、ちょっとずつ名義を奥さんに変えちゃっていても、ダンナさんはそれを知らない。これがあなたの通帳の全部よ、といわれてもそれを信じるしかない。そして離婚話のときに「そのうちの半分を下さい」といわれてしまう。
最近の例で、夫が63歳で、奥さんもだいたい同じ年齢で、妻から離婚を求められた人がいるんです。夫の給与が振り込みになる通帳は奥さんが管理していて、マンションのローンも奥さんがそこから支払っていた。退職金もその口座に振り込まれた。ダンナさんは自分はすごくいい夫だったと思っていたんだけれど、「あなたは家庭をかえりみない夫でした。離婚してください」といわれた。奥さんの決意は固かったのね。
結局は、ダンナさんが「女の方が弱いからマンションは君にあげるよ,でも僕はこれから生きてゆくためにお金がかかるから、蓄えの半分は欲しい」といったんです。たぶん、目分の退職金の額から考えて数千万円の蓄えがあると思ったみたい半分もくれればそれでいいよといったら、奥さんがわかりました、と300万
円をよこしたんです。驚いて問いただすと、貯金が600万円しかないという。「もっとあるというのなら、どこにあるの?」といわれて、結局それで押し通されちやった。子供はどっちの味方でもなく、知らないよという感じだったわね。幸せなときは「これでいいわよね」という生活をしているんだけど、何かあったときには法律の条文が立ちはだかることは、知っておいたほうがいいですよ。
今回の場合は、夫は「そんなはずはない。退職金をもらったのも数年前だし」というけれど、少しずつ妻が自分の名義にして隠してしまったら、なかなか探し出すのは難しい。それに、裁判になったりすれば尋問で聞いたりできるけれど、今回の場合は夫が離婚を切り出されたことがあまりにもショックで、すごく気落ちしてしまい、信頼していた妻がそういうんだったら僕はそれでいいとなった。
夫は自分で仕事を起こそうとしていた時だったので、私たちにできることは、少しでも仕事に対する意欲をなくさないようにしてあげることくらいしかない。
彼には会社を興すだけの経済的なバックボーンはあったし、一緒にやっていこうという友人もいるからね。この夫婦は、仕事が忙しくてほとんど会話がなかったといっていた。ダンナさんには気の毒だけれど、それまでの妻の気持ちに気づかなかったのは不覚でしたね。離婚というのは、男の側からするとこういう物語になるけれど、女の側からするとまた違う物語になりますね。
だから相続のときなんかは、全員から話を聞くと、あっちの人がいうことももっともだな、と思うこともある。
そうすると、こちらの依頼者であっても「そんなに欲張らないで。お姉さんだって苦労してきたんだから、ここは譲ってあげたらどうですか。法事のときに顔を合わせてあいさつができたほうがいいじゃないですか」と依頼者のほうを説得することもあります。
リーガルコーディネーターとして、それがいえるのは歳の甲かな。人生のキャリアがものをいうというか。新卒者だったら、いくら優秀でもそれはできないでしょうね。

現代版「長屋のご隠居さん」的なリーガルコーディネーター。

相続や離婚など、気持ちが先にある争いの場合は、気持ちを納めることが最終目的になることがあります。
うちの事務所では離婚の相談を受けて、ほんとうに決裂している場合は別として、「夫が浮気をした」「生活費を入れてくれない」という相談がきたときは、必ず1回相手の方に合わせてくださいと申し入れます。
相談したのが奥さんだったら、どうして離婚をしたいのか話を充分に聞いて、ダンナさんと一緒にきてもらうか、ダンナさんを訪ねるか、どこかに出向くか、必ず相手方と会う。奥さんはこういうが、これについてどう考えているのか、修復できると思うか、聞くんです。だって、修復できたほうがいいから。
1回だけでなく、何回かすり合わせをして、どうなんですか、やむをえませんね、というところで調停を起こす。そうするとその時点でお互いに気持の整理ができているから、子供の養育費や親権についても心が定まってからの調停になる。 だから、案外早く決定することになるの。そういうことをしておけば、あまりごちゃごちゃしないのではないかしら。
50、60代の方で離婚の相談に見えたけれどおさまった方もいる。相手と会うというところまでこぎつければ、何とかなります。ただし、離婚するのだから相手にあう必要はない、といわれてしまえばそれまで。カウンセラーという名前で、リーガルコーディネーターの役割の人を置いている法律事務所はあるようです。いわゆる心理学を勉強したカウンセラーがやっているこでも、法律を知らないで心理学だけ知っていてもちょっとトンチンカンになってしまうのではないか。ただ単に、精神的に混乱している人の気持ちを納めることはできるかもしれないけれど、弁護士との橋渡しはできないし、どこに焦点を置いて聞いていけばいいのかは、たぶんわからないと思う。ある程度法律を知っていないと都合が悪いのではないでしょうか。
依頼者に対しては、「悩んでいるのはわかるけれど、法律で解決するとしたら、そこは弁護上が入り込むことはできない領域なんですよ。弁護士がやるとしたら、こういう形で解決するしかないんですよ」と説明をする。
弁護上に対しては、「依頼者はこういうことが不満のようなんだけれど、でもそこは法律が入っていけるところではない、というところまでは説明してあります」というとか。依頼者と弁護上の間に入って話をするしかない場合もありますね。
とにかく、まず気持ちをよく聞いて、その人が何に怒っているのか、何をしてほしいのかを知る。

トラブルになる前に、結婚前に知っておきたい法律。

若い時の結婚は無から始めるからいいのだけれど、50代からの結婚はどこかで法律を学んでおくことが必要です。区役所で婚姻届を出すときに、婚姻するとこうなります、と書いたものを渡してくれるといいのですが。
夫婦で公正証書にしておく、という手もある。お互いの幸せのためですよね。
籍を入れなくても長年一緒に生活をしていて夫婦のような形態をとっていれば、特別縁故者といって、相続のような権利が発生するということもある。
夫婦の形態をとるんだったら、やっばり約束事を作っておかないといけないんじゃないかと思いますね。
子供がいる人同士の再婚でどちらかがすぐ亡くなってしまうと、養子縁組をした子供たちの間で相続が不公平だと感じる場合があります。亡くなった人の子供より相手方の子供たちに遺産の多くがいってしまう、ということも起きる。
だから、50代になったら財産をどうずるかなどお互いに決めておいたほうがいいですね。結婚したら相続がどうなるのか、自分の財産がどうなっちゃうのか、離婚したら財産はどうなるのか、再婚同士の夫婦のどちらか一方がなくなったら今の家に住み続けられるのか。
そんなことまで考えないで、この人と一緒のほうが楽しいからと思うだけで結婚してしまうけれど、法律的な知識はきちんと知らせるべきだと思います。
「結婚というのは、法律的にいえばこういうことになる」という本を配るのはいいかもしれない。それで勉強すれば、「やめた、結婚しない!」となるかもしれないしね。
お財布はひとつ、という感覚が夫婦ともにあれば問題ないけれど、片方が自分のものは自分のものと思っていると、あとでもめます。財産については、はっきりさせておかないといけないですね。ナアナア部分はあるだろうけど、誰が大黒柱か、どっちに決定権があるかは決めておくほうがいい。
それが全部あいまいだから、何かが起きたときに私だって!というのが出てくる。
「あれこれ面側くさいから、何もいわない」といままでやってきたことが、結局はトラブルのもとになっている、といえますね。私の友人は50代で再婚しましたが、お互いに子供もいるし、収入もあるし、それまでに築いた財産もある。だから再婚したときに、共有の通帳をひとつ作ると同時に、公正証書を作りました。
公正証書の内容は、1番目は、預金通帳に入っているものと別荘は2人の共有財産とする。どちらかが先に亡くなった場合は、残った人に所有権が移る。
2番目は、現在居住しているマンションはお金を2分の1ずつ出し合って買ったものだから、どちらかが亡くなった場合は売却して亡くなった人の相続人に半分を渡す。もしくは、住み続けたい場合はそのときの時価の半額でその人が買い取る。残った人の希望でどちらにするか決められる。
3番目は、その他の個人財産は個人に属し、お互いに関係ないとする。
この3つを公正証書にして残してありますしお互いの子供にもそのことはいってあるようです。公正証書を見せれば前もって十供たちにいわなくても大丈夫だとは思うけれど、言っておいた方ががゴタゴタはしないでしょう。
もしも離婚することになったら、共有財産の部分を半分ずつに分ければいい。夫婦のどちらか一方が残されたときでも、もめずにずむことが大事です。
どんなに愛があっても、何が起こるかわからないから。

お互いに傷つくから、できたら裁判にしないほうがいい。

裁判で自分について相手方が書いたものを読むと、人格を非難するみたいな文章になっていてものすごく傷つきます。文章だと悔しくて何度も読み返したりするじゃないですか。依頼者が感情的にいったことを弁護士がそのまま書いてしまうと、双方がどんどんエスカレートして傷つけあうことになる。
離婚の裁判でも、財産のことで争うならそこに徹すればいいのに、相手はずるい人間だから、とかやるわけです。いわれた方は悔しいから「こっちはこう書いてください」とどんどん泥沼化していく。
離婚の財産分与で難しいのは、夫婦の財産形成に妻がどれだけ夫に貢献したか、その逆に夫がどれだけ妻のために貢献したか、その割合によって財産の分け方が異なってくるからですこ収入がどれだけあった、貯金はいくらあった、というだけならいいのですが、そのような互いの協力の割合が考慮されるためプライベートなことまで書かざるを得ない。
相続も同じで、亡くなった人にどのくらい尽くしたのかという寄与分があるから、感情的だといわれようが何しようが、私はこんなにやったのに、と主張することになります。できたら裁判にはしないほうがいいと思います。裁判で自分が傷つけられることもある、ということを覚悟しないと。

弁護士は相性で選びましょう。

もし、やむなく弁護士に頼むようなことになったら、相談料を無駄にしてもいいから、数人の弁護土さんに会ってみることをおすすめします,
直接あって30分も話をすれば、自分とあいそうか、話をちゃんと聞いてくれるか、弁護士事務所の雰囲気もわかります,あわないと思ったら次の弁護士さんのところにいってみるほうがいい。弁護士の相談料は、30分5000円です。
自分が長い間つきあっていかなければならない弁護士だから、嫌な人だと困りますからね。
とにかく、話を「そう、そう」と聞いてくれる弁護士さんがいいわね。弁護士さんでなくても、リーガルコーディネーターのように話を聞いてくれる人がいるところがいい。何も聞かないで、「とにかく任せてください」という弁護士は、避けたほうがいいかもしれませんね。

麻田恭子さんの著書:「トラブル依頼人」(風塵社定価1500円+税)
弁護士事務所の人間ドラマはかくも濃い!北尾トロ氏推薦
麻田恭子さんが弁護士事務所で出会った“ トラブル依頼人”たち。
持ち込まれた事件はテレビドラマよりもはるかに奇妙。一筋縄ではいかない依頼人たちの裁判の行方を追っています。
弁護士への相談から始まる「トラブル解決」に向けた流れ、遺産相続や離婚裁判の進み方がわかります,
また、かた苦しいイメージがある裁判官や弁護士ですが、バンド演奏をする裁判官や子育てに奮闘する裁判官なども登場。巻末には、麻田さん自身が依頼するならという基準で、弁護土事務所の選び方が書かれています。

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